新卒 既卒

【歯科衛生士のホンネ】医院見学は「取材」就活で「働きやすい歯科医院」を見極める方法

2022.7.5

歯科衛生士が就職先を選ぶうえで重要なのが「歯科医院の見学」。未来の勤務先のことをより深く知ることができるチャンスですが、何を聞けば良いのか分からない人も多いと思います。

これまで3回の転職活動をしてきた歯科衛生士11年目の中川文子さん(仮名)に働きやすい歯科医院を見つけるためのポイントとコツを伺いました。

<中川文子さんプロフィール>
32歳 愛知県在住 歯科衛生士11年目。転職3回。
「手に職をつけるために国家資格が欲しい」と思い、歯科衛生士学校へ。歯科衛生士5年目の時に、推しを追いかけるために海外留学を決意した。一度、転職で合わない医院に入ってしまったことがあるけれど、今は楽しく残業も少ない医院で、上手にヲタ活と仕事を両立している。

自分に合った歯科医院の見極めは、「取材力」で決まる

——中川さんはこれまで3回の転職活動をされていますね。新卒の時から、すべて歯科医院見学に行ったのでしょうか?
新卒入職した歯科医院は、ホームページもなく、見学に行かないと分からないことだらけだったので行きました。そこはきちんと学生に時間をとってくれたり、最初の2カ月診察室に入らないで研修があったりと働きやすい環境で、家から遠くても「ここで働きたい!」と思ったんです。

歯科衛生士はいつでも転職できるとはいえ、最初の医院は大事。もし臨床実習で「居心地がいいな」と思ったら、相性も合うはずなので、新卒採用予定があるかを確認したり、求人を探したりすることをおすすめします。

——見学の際に、服装で気をつけるポイントってありますか?
私は、オフィスカジュアルで行きましたが、服装の規定は、医院によって違うんです。「医院のカラー」が表れるところでもあるので、事前に確認するのがいいと思います。

——医院の雰囲気から「働きやすい職場かどうか」を見極める方法があれば、教えてください。
「ここの医院は、本当に定時で帰れるのか?」が気になる場合、患者さんのアポを見て「今日はこのくらいの治療が入っている」「その場合、自分はどのくらい残業しないといけないのか」を必ずチェックしますね。

他にも、実習生の子にこっそり「この職場に入りたいと思う?」と聞いてみたり、医院のGoogleの口コミを読んでみたりして、どんな医院なのかを情報収集します。歯科医院の見学というよりも、「取材」に近いと思います(笑)。

——ちなみに、見学にあまり慣れていない人でも聞きやすい質問の例ってありますか?
私の場合、歯科衛生士さんに「◯時が定時ですけど、この予約ペースで本当に帰れますか?」とか「有給休暇はとれますか?」と、率直に質問します。

医院で働いている方は、患者さん以外と話すことに慣れていないこともあるので、普通の会話から医院の話へと自然に話題を移行すると、素直に話してくれる人が多い印象です。

——「はい」「いいえ」で答えられる質問ではなく、相手が話しやすい質問なら、医院側も答えたくなりますよね。
そうなんです。他にも、労働条件を見極めたい時は、「こういう習い事をやりたいけど、忙しい曜日はありますか?」って聞いてみて、何曜日が忙しいのかを確認します。

医院の余裕を知りたい時には、「帰りに◯◯寄ったりしますか?」って働いている歯科衛生士さんに聞くと、大体の終わり時間が見えてきます。

私も学生時代は、分からないことがあっても自分から聞かないタイプだったのですが、「この医院は自分に合わない!」と働く前に気づいた方がお互いのためにもいいので積極的に聞くようにしています。

——逆に「ここは働きにくい職場だな」と気づくポイントもありますか?
医院見学者である「自分以外」への態度です。ドクターから歯科衛生士や業者の方にどんな態度をとっているのか、チェックしちゃいますね。自分には丁寧でも、つい「素」が出る瞬間があるので、注意してよく見てください。私は医院見学中に、業者さんがきたら「ラッキー!」くらいに思っていました。

しっかりと有給休暇をとるコツは、普段から「率先して面倒な作業を巻き取る」

——中川さんは、普段から推し活にも励まれていますよね。仕事と自分の時間を両立するために、どんな工夫をしていますか?
前の職場は、院長がポップを作ると喜んでくれる方だったので、有給休暇を取得する前には、自分から進んでポップ作りに励んでいました。

他にも、職場でパソコンが苦手な方がいたら、自分が率先して面倒な作業を巻き取っています。

——推し活のエネルギーが、仕事への原動力になっているんですね。
基本的にオタクの歯科衛生士は、「オタクをする時は全力でオタクをする」「仕事をする時は全力で仕事をする」。切り替えがあるからか勤務態度もよくて、医療系の仕事には向いているんですよ(笑)。

——合わない職場を辞める時の気持ちの切り替えは、どうしていましたか?
実は私、2回目の転職先が合わない時に、違う職種に転職しようかと悩みました。

だけど、ちょうどその時に推しのオーディション番組が始まって、普段の生活の中でも支えもあり、傷が浅いうちに働いていた医院を「やめよう!」という自己判断ができました。

収入面もやりがい的にも「この仕事しかない」と思っていました。一方で、自分が取り組みたい英語の勉強の時間も確保もしたくって……。労働時間がつめつめの状態の仕事は嫌なので、働く条件として、給料よりも、時間やゆとりを重視するようになりました。歯科衛生士7年目くらいから、やっと自分の仕事のペースをつかめるようになりましたね。

パッと見高待遇の医院でも「基本給」は要確認!

——就職する医院を選ぶ際に「社会保険」を重要視する、という歯科衛生士さんも多いと思います。待遇などは、どうやって選んでいますか?
私が新卒で入った医院は、皆勤手当がなかったので、体調を崩して休んでも給料が下がる心配はありませんでした。歯科衛生士がもらえる手当の種類が多いところは、その分、基本給が低いこともあるので気をつけた方がいいかもしれません。

——国民健康保険や国民年金の医院の場合、お金の管理を自分でやらないといけないかと思いますが、お金の勉強はどうやって始めたのでしょうか?
1年分の国民年金をまとめて支払って、負担を少しでも減らしていました。保険や年金の積み立てについては、職場の先輩に教えてもらったり、自分で勉強をしたりして学んでいます。

——最後に、中川さんが、学生を受け入れる立場に立ってみて「こんな学生に来てほしい!」って思うことはありますか?
まずは、素直な人。そしてたとえ院長に怒られたとしても、落ち込みすぎないできちんと切り替えられる人。教える側も「やりやすくていいな」と思います。

私は学生時代、医院見学について分からないことが多く、たくさん失敗しました。だけど、「全国の歯科医院の数はコンビニより多い」と言われているくらいなので、ひとつの歯科医院見学がうまくいかなくても、ネガティヴにはならず、たくさん質問して自分にぴったりの歯科医院を見つけてください。

 

取材・編集 小沢あや(ピース株式会社
構成 吉野舞
イラスト あわい
デザイン ありよしはるか