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【障がい者歯科で活躍】歯科衛生士インタビュー

2022.5.30

心身に障がいや病気を持ち特別な配慮の必要(スペシャルニーズ)がある患者さんを対象とした障がい者歯科。バリアフリーなどの物理的配慮に加え、疾患特性を理解したスタッフによる精神的配慮が重要となる分野です。

学生時代の臨床実習をきっかけに東京都立心身障害者口腔保健センターに入職した、大塚菜月さんに話を伺いました。

*こちらは、2020年3月発行「就活BOOKクオキャリア春号」掲載記事を再編集したものです。掲載情報は当時のものとなります。

プロフィール

大塚 菜月さん(Otsuka Natsuki)
東京都立心身障害者口腔保健センター勤務

東京都歯科医師会附属歯科衛生士専門学校(2017年卒)
歯科衛生士の母が楽しく仕事やスキルアップに励む姿を見て育ち、この道を志した。休日は地元のスポーツジムで汗を流すほか、好きな音楽を聴いたりカラオケで歌ったりして過ごしている。父の影響で昭和のヒット曲がお気に入り。

★東京都立心身障害者口腔保健センター(東京都新宿区)
https://tokyo-ohc.org/
誰もが地域で安心して歯科医療が受けられることを目指して歯科医院への啓発や診療に取り組んでいる。待合室やユニットは車椅子のまま入れるようになっていたり、人や物がぶつかっても危なくないようライトが天井から吊るされていたりと、随所に工夫が凝らされている。

心からの“大好き!”が
モチベーションにつながる

困っている人を助けたい
その方法を見つけた!

「この人を助けてあげたいけれど、自分には何もできない…」

大塚さんが障がい者歯科に関心をもったのは、学生時代の臨床実習がきっかけだった。

「障がい者施設を訪問したのですが、口腔の状態が良くない方が多い一方、歯磨き指導をしたくても口を開けてもらうことすらできなくて。悲しさと無力さを感じた経験でした」

どうすればよかったのか? と悩み続けていたときに、現在の職場・東京都立心身障害者口腔保健センターで実習をすることに。

「使命感に満ちた先輩たちの働きぶりを見て、あの人たちを助けられるヒントが見つかった! と思ったんです。これこそが私が歯科衛生士としてやりたいことなんだ、ここでならやりたい仕事ができると確信しました」

口を開け続けることが困難な方のための開口器具。

患者さんに自信をもたらし
その喜びを分かち合える

障がい者歯科では、歯科や疾患についての知識に加えて、“器具が苦手” “長時間同じ姿勢でいられない”など患者さんそれぞれの性格や特徴の理解が欠かせない。

「研修で学んでいても、実際に接してみると戸惑うことも。そんなときは『この方は何が嫌だったんだろう』と気持ちを想像して、『次はこうしてみよう』と工夫して…を繰り返しています」

決して楽な仕事ではないが、一般歯科では得難い感動も味わえる。例えば感情表現がストレートな分、“痛い・嫌だ”というマイナスな気持ちだけでなく、心から信頼してくれたときには溢れるほどの“大好き”をもらえるという。

「最初は歯ブラシの役割を教えることから始まった方が歯磨きをできるようになって『わたしもできる』と喜んでくれたりする。患者さんやご家族の方に自信をつけてもらえるとすごくうれしいですね。この仕事をやっていてよかったなと思う瞬間です」

最近では学生への講義など、啓発活動にも携わるようになった。

「車椅子用のスロープがない医院や、あってもうちでは診られないと断られることもあるのが現実。患者さんが地域の診療所に通えるように、障がいへの理解を深めてもらう活動にも力を入れていきたいですね」

脳性麻痺などにより体がこわばってしまう方や不随意運動がある方が安全に診療を受けられるよう、クッションなどを利用して体動コントロールを行うことも。

障がい者歯科に向いている人は?

さまざまな事情や背景を持つ方がいらっしゃるので、なんでも受け入れられる人ですね。先入観を持ったり、最初から無理かも…と思い込んだりせず、いったん受け止めて自分の中でかみ砕いて、「こうしたほうがいいんじゃないかな?」と考えることが大切だと思います。そしてやっぱり、優しさ。「この方のために何とかしてあげたい」という気持ちが、患者さん一人ひとりに合った対処法やアイデアを生み出す力になります。

治療環境に慣れてもらうためのトレーニングも大切な仕事の一つ。診療に入る前に、絵カードなどを使いながら、これからする治療や使う器具について説明をして不安を取り除く。

 

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