新卒

【歯科衛生士国試対策 “わかる!社会歯科” 】疫学調査と事後評価

2022.3.2

はじめに

クオキャリア過去問アプリ編集長の笠原玄太さんが、
国家試験までに受験生が知っておきたい「社会歯科」に関する内容について、連載でお送りしております。

国試前最終回の今回は、疫学調査と事後評価について解説します。

<前回までの記事をチェック!>

【第一回 社会保険って何?】 

【第二回 介護保険と地域包括ケア】

【第三回 健康日本21(第二次)や健康増進法】

【第四回 予防に関する問題】

適切な支援活動を行うために

一般論として、歯科衛生士の仕事は人々の健康をサポートすること
適切な支援活動を行うためには、まずは事前にきちんと調査を行い、何が問題となり、どんなことが求められているのかを明確にしなければなりません
また、支援が適切に行なわれ、支援活動の目的が達成されているかについては、事後にきちんと評価をしていかなければなりません
それゆえ、一見歯科衛生士には関係なさそうな疫学調査や活動の評価が国家試験で問われることがあります。

疫学調査とは

疫学調査とは、集団を対象として、
病気やその分布に影響する原因(因子)などを統計学的に研究する学問のこと
をいいます。

疫学調査の種類

疫学調査は、まず観察にもとづく観察研究具体的な介入行為(薬の投与など)を行う介入研究に分かれます。

観察研究の中には観察にもとづいて仮説(病気はどのように発生するのか、など)を立てる記述疫学その仮説が正しいのかを検証する分析疫学の2つがあります。
分析疫学は、さらに生態学的研究、横断研究、縦断研究に分かれ、
縦断研究はさらにコホート研究(前向きと後ろ向きがある)患者(症例)対照研究の2つに分類されます。

介入研究の例としては、ランダム化比較対象試験があげられます。

 

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疫学調査の種類 区別のポイント

①観察研究か介入研究か
なんらかの介入(国家試験では「試験」という言葉で出題されています。例としてあげられるのは治療薬の投与です)があれば介入研究です。

 

②記述疫学か分析疫学か
記述疫学は4つのW<When, Where, Who, What>を詳しく正確に観察し、記述する(それに基づいて仮説をたてる)研究で、
分析疫学は記述疫学で明確にした4つのW<When, Where, Who, What>をもとに、Whyを追究します。
概ね単なる記録で留まっていれば記述疫学それをもとにさらなる調査を行っていれば分析疫学ということになります。

 

③生態学的研究か横断研究か縦断研究か
生態学的研究は、既存の統計資料等を使用する点に特色があります。
横断研究か縦断研究かは、調査が一度で終わっているか(横断研究)、継続的になされているか(縦断研究)で区別できます。

 

④コホート研究か患者(症例)対照研究か
コホート研究は、病気の要因に触れている(曝露)しているかどうかで比較する方法で、
患者(症例)対照研究は疾患を有しているかどうかで比較する方法です。

コホート研究の前向き、後向きの区別は、
将来に向けて研究するのが前向き、
過去にさかのぼるのが後向きにとなります。

※前と後は時の流れをイメージするとわかりやすいでしょう。

 

⑤ランダム化比較対照試験の流れ

ランダム化比較対象試験については、流れの中でランダム化を行うのはどの段階かという問題が出題されています。
これについては、「ランダム化」の意味が分かれば大丈夫です。
ランダムとは「規則性がない」、「無作為」といった意味であり、対象者を分ける(割り付ける)際に用いられる手法です。
対象者を分けるやり方としては、このように規則性なしに分けるやり方(無作為抽出)と一定の規則性にしたがって分けるやり方(有意抽出)の大きく2つがあります。

ランダム化比較対照試験では、①最初に被験者に十分な説明を行い、②その後ランダムに割り付け、③介入後に追跡調査をして、④結果を比較するというやり方がとられます。

事後評価の方法

事業の事後評価の観点としては、大きく4つのものがあります。

ストラクチャー評価 ストラクチャー(構造)は、保健事業を実施するための仕組みや体制を評価するもの。予算の額、人員の数、設備・施設の数など。
アウトプット評価 事業の実施量を評価するもの。事業の実施回数、参加者数など。
アウトカム評価 事業の目的・目標の達成度、また、成果の数値を評価するもの。歯科医療費の減少、口腔のQOLの向上、有病率の減少など。
プロセス評価 事業の目的や目標の達成に向けた過程(手順)や活動状況を評価するもの。事業の「質」を見る。情報収集やアセスメントの十分さ、適切な目標設定、実施の際の状況(スムーズに行えたか)、対象者の満足度など。

 

最近のケースとして、新型コロナ感染症についてのワクチン接種を例にとってみると、こんな感じになるでしょう。

①ストラクチャー評価
接種のための予算、用意するワクチンの量、医師・看護師の数、接種会場など

②アウトプット評価
ワクチンを接種した人の数など

③アウトカム評価
感染者数の減少、死亡者数の減少など

④プロセス評価
接種目標の設定(例:「高齢者はいつまでに」)は適切だったか、スムーズに接種が行えたかなど

 

※アウトプットとアウトカムの違いに注意してください※
事業の目的と直接関係するのはアウトカムです
アウトプットはストラクチャーを使ってどれだけのことができたかという量的な問題にすぎません。

仮にアウトプットでワクチンをたくさんの人が接種した(アウトプット評価としては成功)としても、
その後感染者数や死亡者数が減少しなければ、アウトカム評価としては失敗となります。

実際の過去問で出題形式をチェック!

・30回午前22問
地域歯科保健活動でアウトカム評価の対象はどれか、2つ選べ。

a 歯科医療費の減少
b 口腔のQOL上昇
c 歯科検診の実施回数
d 担当人員の活用状況

 

その他、下記問題も出題されています。

・30回午前25問
・30回午後25~26問
・29回午前28問
・28回午後24問

 

――勉強した内容は、歯科衛生士国家試験対策 過去問アプリで復習しよう!

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