内定後の取り交わし|教えて!ビーバー先生 クオ子の就活トラブルSOS #3

就職活動は社会の入り口。学生生活を送るなかでは縁がなかった心配事やトラブルに遭遇することもあるかもしれません。
はじめての職場探しに際し、さまざまな「困った」に直面している歯科衛生士学生の“クオ子”さんが、
歯科業界の採用に詳しい“ビーバー先生”に相談します。

*こちらは、2022年2月発行「就活BOOKクオキャリア春号」掲載記事を再編集したものです。掲載情報は当時のものとなります。

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登場人物紹介

クオ子

クオ歯科衛生士学校の3年生

何事にも一生懸命だが、心配性なのとおっちょこちょいなところがたまにキズ。内定が決まり、就活もやっと終了か!? 好きな言葉は「明日から頑張る」


ビーバー先生

株式会社クオキャリアの代表取締役社長 中山 豊

社会保険労務士・国家資格キャリアコンサルタントの資格も持ち、長年、歯科衛生士の就職をサポートしてきた経験から、今連載ではDH学生の就職トラブルに対し幅広い視点からアドバイス。最近気になる存在、生態系のキーストーン「ビーバー」に扮して登場。

ついに内定ゲット!でも思わぬトラブルが…

約半年にわたる就職活動の末、ついに憧れの歯科医院からの内定をゲットしたクオ子。ビーバー先生に報告し喜んでもらい、早速ひとり暮らし用のマンション契約も済ませました。

そのひと月後…

クオ子:
先生、どうしよう! 困りました…。

ビーバー先生:
また、いったいどうしたんだい?この間まであんなに喜んで浮かれていたのに。

クオ子:
今朝、入職予定の医院から連絡があったのですが、配属の分院が池袋だったんです。

ビーバー先生:
おー、いいねえ。先生は池袋大好きだよ。池袋駅の西口には東武デパートがあってね、東口には西武デパートにパルコもあってちょっとしたショッピングラビリンスだね。

クオ子:
それはすごいですね。って、そこじゃなくて!私、六本木に配属されると思っていたんですよ。ミッドタウン界隈に通う自分をイメージしていたのに…。

ビーバー先生:
ふうん。どうして六本木に配属されるって思ったの? あそこは大規模医院だし、都内に分院はいっぱいあるよね?

クオ子:
面接のときに、「六本木にも分院がありますね」と言ったら、院長先生が「そうだよ。クオ子さんも、将来は六本木に配属になる可能性もあるよ」と教えてくれました。それで、すっかり舞い上がってしまって…。よく考えてみたら、「将来は」とか「可能性」と院長先生は言っていたのに…。

ビーバー先生:
なるほど、とんだ早とちりだね!ところで、「労働条件通知書」のようなものは医院から届いていた?

クオ子:
あっ、これですかね? 内定通知書と一緒に来ていた書面なら、ちょうど今持っているのでお見せできます。

ビーバー先生:
どれどれ。うーん。勤務地にハッキリと、「都内の分院のいずれか」と書いてあるね。これなら文句言えないなあ。

クオ子:
えっ、そうなんですか?ちゃんと読んでいませんでした。

「労働条件通知書」って何? 大事な書類?

クオ子:
この書類、そんなに大事なものだったのですか?
ビーバー先生:
とても大切だよ。正社員、アルバイトにかかわらず、全ての労働者に書面で労働条件を明示することは、労働基準法で事業者に課せられた義務なんだ。特に次の項目は、必ず労働者に明らかにしなければならない「絶対的明示事項」として決まっているよ。

労働条件の絶対的明示事項

  • 契約の期間
  • 就業場所
  • 業務内容
  • 始業と終業の時刻や残業の有無
  • 休憩時間、休日、休暇
  • 賃金の計算方法や締日、支払日
  • 解雇を含む退職に関する事項

クオ子:
ほー、重要なことが書かれていますね。

ビーバー先生:
これらのことは基本的には書面で示さなければいけないけれど、労働者が望めば、メールやファックス、LINEなどのSNSで知らせることもできるんだ。

クオ子:
知りませんでした。ところで私に届いたこの書面のタイトルは、「労働条件通知書」ではなく、「雇用通知書」になっています。

ビーバー先生:
名前は何でもいいんだ。今話した「絶対的明示事項」が書いてあればね。他にも、「内定通知書」として来たものに明示されていたり、契約書として事業者と労働者お互いが捺印して持つパターンなどいろいろだね。

明示された条件が募集要項と違ったら?

クオ子:
では、最初に見た募集要項と、内定後に明示された条件が違っていたら、医院さんに確認してもいいのでしょうか?

ビーバー先生:
もちろんだよ。ただ、言い方には気を付けよう。そもそも、ちょっとした解釈の取り違いかもしれないしね。それと、院長先生はより良い医院にするために、経営方針を絶えず更新しているんだ。だから、面接のタイミングとその後で、労働条件が少し変わることもあるよ。決して内定者をだまそうとしているわけではないから、それを前提に丁寧に聞いてみよう。どんなことでもそうだけれど、確認や要求で相手が気を悪くするわけじゃないよ。

クオ子:
言い方ですよね!これまでも先生が教えてくれた、大人としての常識的な言い方を心がけるということですね。

ビーバー先生:
そうだよ。そして、思っていたのと大きく違っていたらその医院を辞退することもありだけれど、クオ子のようにとても良い医院だと感じているなら、少しのことは様子を見て、長い目で判断したいね。何でも自分の成長になるよ。

クオ子:
よくわかりました。大切なのは明示条件をよく確認し、不明な点があればすぐ医院に問い合わせ、入職前にお互いの不安を解消しておく、ということですね!

ビーバー先生:
そうだよ! だいぶ理解が早くなってきたね。成長したなあ。

クオ子:
てへへ。

ビーバー先生:
で、ひとり暮らしする場所は決まったの?

クオ子:
はい。就業場所が六本木だと思っていたので、一本で行ける大江戸線「練馬駅」の近くにしました。

ビーバー先生:
え!「練馬駅」なら西武池袋線で「池袋駅」まで1本じゃないか!しかも、「六本木駅」に行くよりずっと早いよ。

クオ子:
そうなんですか!? 知りませんでした。なんだ~、結果、私すごいラッキーですね。

ビーバー先生:
そうだよ。これは幸先いいね!

クオ子:
先生、この1年、就活の相談に乗ってもらってありがとうございました。私、先生がいたから乗り越えられました。

ビーバー先生:
どういたしまして。入職してからも前向きに頑張ってね。応援しているよ。

クオ子:
はい!働き始めたらまた相談に来ますね。

ビーバー先生:
ひー、もういい加減、勘弁してくれ~(笑)。

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