【歯科衛生士国試対策 “わかる！社会歯科” 】介護保険と地域包括ケアシステム

はじめに

クオキャリア過去問アプリ編集長の笠原玄太さんが、
歯科衛生士国家試験までに受験生が知っておきたい「社会歯科」に関する内容について、連載でお送りしております。

第二回の今回は、介護保険と地域包括ケアシステムに関して解説します。

介護保険と地域包括ケアシステムを学ぶ必要性

介護保険は自分が要介護状態・要支援状態になった場合に助けてくれる保険です。

歯科衛生士にとって、介護は直接関わる領域ではないとも思われるかもしれませんが、
高齢化が進んだ現在、歯科衛生士にも自宅や介護施設で暮らす高齢者をサポートする役割（訪問する形での支援）が求められます。
そのため、歯科衛生士国家試験では、介護保険に関する問題も出題されます。

また、出題基準の改定により盛り込まれた「地域包括ケアシステム」は、
高齢化社会において医療と介護が連携して取り組まなければならない分野であり、
介護保険と関連づけて学習しておくべき内容となります。

＜介護保険＞介護保険のサービスの種類

介護保険は要介護状態（日常生活全般にわたって、常にお世話が必要な状態）または
要支援状態（今はそうではないが、将来要介護状態になるおそれがあり支援が必要な状態）になった人を助ける制度です。

サービスは大きく、要介護者を対象とする介護給付と、要支援者を対象とする予防給付に分かれます。

さらに介護給付は、
居宅サービス（対象者が自宅にいる場合）、
施設サービス（対象者が施設に入所している場合）、
地域密着型サービス（市町村がきめ細かくサービス内容を決めるもの）、
ケアプランを立てるサービスに分かれます。

介護保険のサービスを利用するためには、保険者である市町村に申請して要介護・要支援認定を受ける必要があります。

＜介護保険＞居宅サービス…特に歯科衛生士にとって重要な居宅療養管理指導

居宅療養管理指導とは、通院が困難で、療養上の管理および指導を受けることによって、
療養生活の質の向上を図ることのできる在宅の要介護者が対象となるサービスです。

居宅サービスの中でも、居宅療養管理指導は歯科衛生士が活躍するサービスのため、特に重要です。

歯科衛生士による居宅療養管理指導とは歯科医師の指示に基づいて行う口腔管理のことで、
具体的には、
①歯磨きの指導
②義歯の手入れ指導
③口腔ケアの指導
④嚥下機能の維持、向上のための助言　となります。

なお、居宅療養管理指導は、居宅サービスなので居宅サービス計画に基づいて実施されます（医療保険のサービスではないので注意）。

＜介護保険＞施設サービス

訪問歯科診療の舞台となることも多い介護保険の対象施設には以下のようなものがあります。

＜介護保険＞図でまとめよう！

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＜地域包括ケアシステム＞地域包括ケアシステムと地域包括支援センター

地域包括ケアシステムとは、重度な要介護状態になっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしができるように
医療・介護・予防・住まい・生活支援を一体的に提供するものです。

地域包括ケアシステムのコーディネーター役（まとめ役）として期待されているのが地域包括支援センターです。

＜地域包括ケアシステム＞図でまとめよう！

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実際の過去問で出題形式をチェック！

・30回 午後29問
要介護者にリハビリテーション等を提供し、在宅復帰を目指す施設はどれか、１つ選べ。

a 介護医療院
b 介護老人福祉施設
c 介護老人保健施設
d 介護療養型医療施設

・30回 午後30問
介護予防ケアマネジメントを基本機能に持つのはどれか、１つ選べ。

a 老人福祉センター
b 市町村保健センター
c 口腔保健支援センター
d 地域包括支援センター

その他、下記問題も出題されています。

・30回 午前27問
・29回 午前30問
・28回 午前27問
・27回 午後87問
・26回 午後30問