「患者担当制」ってよく聞くけど、どういうこと? |歯科衛生士知っとこ!職場の見極め塾#2

こんにちは!ライターのヤナギです。 これまでに10年以上、クオキャリアでたくさんの歯科医院を訪問したり、記事を執筆したりしてきました。
その経験から、歯科衛生士の皆さんに「自分に合った職場を選ぶためのヒント」をご紹介します。

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はじめに:“患者担当制”って何?

歯科衛生士の求人情報を見ていると、「患者担当制」という言葉をよく見かけます。
これ、どういうことか説明できるでしょうか?

「なんとなくイメージはあるけど…」という方も多いかもしれません。

「患者担当制」とは、文字通り、「一人の患者様の診療を、一人の決まった歯科衛生士が担当する」ということです。
逆に言えば、自分以外の歯科衛生士が、その患者様を診ることは原則としてない、ということです。
もちろん、シフトの関係で他の歯科衛生士に診てもらう、などということはありますが、あくまでもそれは「その日だけ、自分の代わりに診てもらう」という位置づけです。

一方で患者担当制を導入していない場合は、患者様の予約に合わせて、その日に出勤している歯科衛生士に診療が割り振られるイメージです。
初診はAさんが診て、次に来院した際にはBさんが診療、3回目はCさんが診療…というように、いろいろな歯科衛生士が一人の患者様の診療に関わっていきます。

このように見てみると、「患者担当制」か、そうでないかによって、歯科衛生士の仕事の仕方が大きく変わりそうです
それぞれどんなメリットがあるのか、気になりませんか?

では、わかりやすくご紹介したいと思います!

 “患者担当制”のメリット

患者担当制のメリットは、大きく分けて2つあります。

1つは、患者様の口腔内を継続して診ていけることです。

「前回のブラッシング指導をちゃんと実践してくれているかな」
「前回SRPをしたけど、炎症は治ってきたかな」

など、自分のやったことの成果がわかりやすいことが大きなメリットです。
成果が出ていれば大きなやりがいや達成感につながりますし、もし思ったような結果が出ていなくても、試行錯誤する中でスキルアップが図れます。

患者担当制の2つ目のメリットは、患者様との信頼関係が築きやすいことです。

また、患者様の性格や家族構成、お仕事の内容やライフスタイルなども把握しやすいです。
単純に考えて、同じ患者様と何度も顔を合わせることで、どんどん仲良くなれそうです!
実際に、「同世代の患者様と友人のように親しくなれた」「おばあちゃん世代の患者様からかわいがってもらっている」なんていう話もよく聞きます。

こうした患者様との密なコミュニケーションが、効果的なブラッシング指導に活かせたり、患者様のモチベーションアップにつながったりと、1つ目のメリットにも関係してきます。

このような良さがあるため、一般的に患者担当制を導入している歯科医院は、「歯科衛生士としてのやりがいを感じられる職場」だと言われているんです。

“患者担当制ではない”メリット

ここまで見てくると、「じゃあ、患者担当制の職場を選ぼう」という気持ちになったかもしれません。
でも、ちょっと待ってください!
“患者担当制ではない職場”にも、実は、たくさんのメリットがあるんです。

患者担当制でない場合は、職場の歯科衛生士が「みんなで」一人の患者様を見ていくことになります。
つまり、先輩が処置した患者様を、次回は自分が診る、ということもよくあるんです。

実はこれって、大きな学びのチャンス

「先輩はどんな風に処置したのかな」
「どんなブラッシング指導をしたのかな」

ということを、臨床の中でバッチリ学ぶことができるんです。

また、自分と同じ患者様を先輩も診ているため、わからないことを先輩に相談する時にも、スムーズに状況を共有できます
さらに、毎回違った患者様を診るわけですから、患者担当制に比べて多くの症例に触れられることもメリットの一つです。
こうしたことから、特に経験が浅いうちは、“患者担当制ではない職場”に魅力を感じている歯科衛生士も多いようです。

そして実は、「普段は患者担当制ではないけれど、患者様から指名があった場合は担当につける」という職場も多いです。
いろいろな歯科衛生士の診療を受けた患者様から、「次もあなたに診てほしい」と指名してもらえるとしたら、それも大きなやりがいにつながるはずです!

“患者担当制”には、デメリットもある?

ところで、患者担当制に対して、次のような不安を抱いている方もいるかもしれません。

・患者担当制だと、診療が“自己流”になってしまう?
・患者様とトラブルになったらどうしよう…。
・患者担当制だと休みが取りづらい?

でも実は、このような心配はいらないことがほとんどです!

スキル面については、多くの場合、新人研修や勉強会などできちんと学べます
患者様との関係でつまずいたときにも、インカムを使っての連携やミーティングでの情報共有など、フォロー体制がしっかり整っていることが多いです。
そもそも、「担当を持つのは、入職から半年経ってから」「テストに合格してから」など、ある程度自信が持てるようになってから患者様を任されることがほとんどです。
 “患者担当制だから放っておかれる”ということはないので、安心してください。

また、休みについては、実は「患者担当制だからこそ、休みが取りやすい」と感じている先輩が多いようです。
その理由は、アポイントを自分で管理できるからです。
患者担当制の場合、次回の予約を患者様と話し合って決めることが多いです。
そのため、「この日は休みたい」ということがあらかじめわかっていれば、その日に予約を入れないように自分で調整ができます。

これも、患者担当制の“メリット”と言えるかもしれません。

まとめ:自分に合うスタイルを選ぼう

さて、ここまで読んでくださった方は、「じゃあ、患者担当制の職場と、そうでない職場、どっちを選べば良いの〜!?」と迷ってしまったかもしれません。

では、どっちが自分に合っているか、考えてみましょう。

・じっくり回数を重ねてコミュニケーションを取りたい
・自分の仕事の成果をしっかり感じたい
・とにかく患者様と仲良くなりたい

という方は、「患者担当制」の職場が合っていると思います。

一方で

・まずは先輩のやり方を学びたい
・たくさんの患者様を診てみたい
・自分が指名をもらえるか、力試しをしてみたい

という方には、「患者担当制ではない」職場をオススメします。

参考になったでしょうか?
今回は「患者担当制」というワードに絞って解説をしてきました。
求人情報ではたった一言でも、これだけたくさんの内容が隠れているんです。

このコラムが、あなたにとってベストな職場探しの役に立てれば、とてもうれしいです。


ヤナギ

ライター、インタビュアー

2010年よりクオキャリアのさまざまな媒体で歯科医師・歯科衛生士の取材や、求人原稿・インタビュー記事の執筆など、のべ6,000件以上を担当。歯科業界の採用事情に精通している。


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