残業がない職場って、どんな職場? |歯科衛生士知っとこ!職場の見極め塾#10

こんにちは!ライターのヤナギです。 これまでに10年以上、クオキャリアでたくさんの歯科医院を訪問したり、記事を執筆したりしてきました。
その経験から、歯科衛生士の皆さんに「自分に合った職場を選ぶためのヒント」をご紹介します。

★歯科衛生士知っとこ!職場の見極め塾 記事一覧はこちら

“残業”は、仕方ない?

求人の募集要項には、「診療時間」とは別に、「勤務時間」が載っています。
これは、準備や朝礼など、診療以外の業務も含めた「スタッフが仕事をする時間」
この、あらかじめ決まっている勤務時間を、“所定(しょてい)労働時間”と呼んでいます。

仕事は“所定労働時間”内に終わらせるのが原則ですが、急患が入った場合など、やむをえず仕事の時間が延びてしまうこともあります。
決められた勤務時間を超えて仕事をした場合、その超えた分は“超過勤務(いわゆる残業)”となります。
見過ごされがちですが、昼休みなどの「決められた休憩時間」を割いて働いた場合も勤務時間とみなされるため、残業代が発生する可能性があります。

ところで、労働時間の上限は、“労働基準法”と言う法律で、「原則として、一日8時間まで、週に40時間まで」と決まっています※。
※歯科医院の規模や労働契約内容によってはその限りではありません。

★こちらもチェック!↓↓


歯科衛生士の残業代は?固定残業代についても解説!

これは、労働者が心身ともに健康に生活ができるように、「働きすぎ」を防ぐ目的で決められている時間です。
よって、これを大きく超えるような残業は好ましくないと言えるでしょう。

残業時間は職場によってかなり幅がありますが、最近は、残業を減らすように頑張っている歯科医院が増えています。
そこで、残業が少ない医院はどんな工夫をしているのか、また、そのような職場をどうすれば見極められるのかのポイントを紹介したいと思います。

残業をなくす工夫①:正確なアポイント管理

歯科医院では、診療を予約制にしているところがほとんどです。
例えば朝9時から診療が始まるとして、9時〜10時の枠、10時〜11時の枠、11時〜12時の枠…と、診療終了時間までの「予約枠(アポイント枠とも言います)」を、患者様の予約で埋めていくイメージです。

この「予約した診療時間」をきちんと守っていけば、診療の終わり時間が延びることはなく、残業もしなくて良いはず。
それが、残業をなくすための基本です。
診療内容に対して余裕を持って予約枠を設けたり、予約枠と予約枠の間に少し時間をあけておいたりすることで、診療時間が次の予約枠にずれ込みにくくなります。

このように予約時間がしっかり管理されている医院は、患者様をお待たせすることもないので、待合室に患者様があまりいないことが多いです(もちろん、会計を待っている方や、早めに来た患者様が待っていることはあります)。
歯科医院を見学に訪れて、「診療室は埋まっているのに、待合室がガラーンとしているな」と感じたら、それはきっと、時間管理がしっかりされている証拠です。

残業をなくす工夫②:時間設定の工夫

このほかにも、残業を少なくするための時間管理の工夫があります。
一つは、「最終受付時間」を設定することです。
例えば、診療終了の30分前に「最終受付時間」を設けておけば、診療に30分かかっても、診療の終わり時間が延びません。
レストランの「ラストオーダー」のようなものですね。
予約外の急患が入った場合も、「最終受付時間」を設けておくことで、残業をできるだけ防ぐことができます。
「最終受付時間」があるかどうかは、医院のホームページなどで確認できます。

もう一つの工夫は片付けの時間を勤務時間に含めておくことです。
例えば「19時」に診療が終わる場合、片付けやカルテ記入などの時間を30分取って、勤務時間の終了時間を「19時30分」にするということ。
片付けの時間もきちんと勤務時間に入れている職場は、残業が少なそうだな、と想像できます。

残業をなくす工夫③:「シフト制・分業制」

ここまで「診療時間の管理」による対策について見てきましたが、それとはまた違った面で残業を減らすのに効果的な取り組みがあります。
それは、「シフト制」や「分業制」です。

例えば「早番」と「遅番」のシフトを設定し、「早番は終業時間が来たらすぐに退勤する」、「遅番は急患対応や片付けなどを終えてから退勤する」というように、役割を分けている職場があります。
最後まで残る人を決めておくことで、決められた終業時間(=定時)にきちんと帰れるようにするという工夫です。

「分業制」の例としては、クリーンスタッフが在籍しているケースです。
片付けや掃除は専門のスタッフにお任せし、他のスタッフは診療が終わったらすぐに帰れる体制にしておけば、残業をできるだけ減らすことができます。

残業をなくす工夫⑤:練習や研修の時間を勤務時間内に取る

医療の世界は、日々の勉強やスキルアップが不可欠です。
特に新人の頃は、患者様の診療以外にも、練習をしたり、知識を学んだりする時間がどうしても必要です。

こうした「練習」や「勉強」の時間が勤務時間内に設けられているかも、残業の有無に関わってきます。
従来は「診療前に朝早く来て」「診療後に夜遅くまで残って」「昼休みを削って」練習をすることが一般的でしたが、最近では、勤務時間内に研修時間を設ける職場も増えています。
新人研修だけでなく、医院全体の勉強会なども、診療を休みにして行っているケースが多く見られます。

求人情報で「研修は勤務時間内に行います」などと明記している職場もありますが、記載がない場合は見学の際に先輩や院長に確認してみても良いでしょう。

残業をなくす工夫⑤:「残業を減らそう」と言う意識を共有する

ここまでは、残業を減らすための「制度」を紹介してきましたが、それと同時に重要なのは、「残業を減らそう」と言う意識をスタッフが共有しているかです。
手が空いているスタッフから率先して片付けを進めるなど、「チームワーク」が残業を減らすのに一役買っているなと感じることも多くあります。

入職前に確認することがなかなか難しい部分ですが、「時間通りに動こうとしている様子が見られるか」、「昼休みに入るときのスタッフの連携はどうか」など、見学でわかることもありそうです。

まとめ:残業の少ない職場=スタッフを大切にしている職場

残業が頻繁にある職場だと、退勤後の予定が立てにくいですよね。
逆に、ほぼ毎日定時で上がれるのであれば、習い事や友人との約束なども入れやすく、仕事後の時間が有効に使えます。

また、残業があるということは、労働時間が長くなるということ。
そんな状態が続くと、体力的にも精神的にも、少なからずダメージがあるはずです。
特に入職して間もないころは、慣れない環境で疲れやすいもの。
昼休みや仕事の後にしっかり休めることは、体調管理のためにもとても大切だと思います。

そのため 残業を減らそうと努力している医院は、スタッフの生活や健康を大事に考えている従業員想いの 職場だと言えそうです。

 


ヤナギ

ライター、インタビュアー

2010年よりクオキャリアのさまざまな媒体で歯科医師・歯科衛生士の取材や、求人原稿・インタビュー記事の執筆など、のべ6,000件以上を担当。歯科業界の採用事情に精通している。

 

新卒歯科衛生士の求人情報はこちら

転職歯科衛生士の求人情報はこちら

歯科衛生士の求人をお探しの方へ
クオキャリアでさっそく見つけてみる
職場を選ぶポイントがわかる!歯科衛生士のための適性診断