「仲の良い職場」って、どんな職場?〈後編〉お互いを尊重し合う適度な距離感|歯科衛生士知っとこ!職場の見極め塾#13

こんにちは!ライターのヤナギです。 これまでに10年以上、クオキャリアでたくさんの歯科医院を訪問したり、記事を執筆したりしてきました。
その経験から、歯科衛生士の皆さんに「自分に合った職場を選ぶためのヒント」をご紹介します。

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“仲の良さ”には、いろいろな形がある

前回のコラムでは、“仲の良い職場”の一例として、「友人」や「家族」のような、スタッフ同士の距離感の近い職場の特徴をご紹介しました。



「仲の良い職場」って、どんな職場?〈前編〉“友人”や“家族”のようなスタッフ

今回はそれとは対照的な、「距離感の遠い職場」を取り上げてみたいと思います。

「距離感が遠い」のに、“仲が良い”ことってあるの?と、少し不思議に感じる人もいるかもしれません。
でも、仕事仲間としての“仲の良さ”には、さまざまな形があるのです。
このコラムが、「こんな“仲の良さ”もあるんだ!」という発見につながればうれしいです。

距離感の遠い職場の特徴①:プライベートでの交流は少なめ

前回のコラムでは、「スタッフ同士の距離感の近い職場」の特徴として、「仕事後や休日に遊びに行く」「社員旅行や食事会がある」というポイントを挙げました。

一方で、
「仕事が終わったら、『お疲れさまでした!』とみんながサッと帰る」
「社員旅行はなく、食事会も、年に1回の忘年会程度」
という職場もあります。
「仕事とプライベートはきちんと分けたい」と考えている人にとっては、こうした職場が働きやすいでしょう

「仕事でしか顔を合わせないと、コミュニケーションが取りにくいのでは?」と心配になるかもしれませんが、実は、そうとは限りません。
勤務時間内にミーティングの時間を設けたり、朝礼や終礼を毎日行ったりして、情報共有や意見交換をきちんと行っている職場も多いのです。
オフでの交流がない分、「仕事の中で、お互いのことを理解しよう」という意識が強くなるのかもしれません。
仕事仲間として信頼し合う、“大人のプロ集団”というイメージです。

また、現場の歯科衛生士さんにインタビューをしていると、

「困ったときに目線を上げただけで、誰かが気づいてさっと助けに来てくれる」
「常にインカムでお互いの状況を共有し、フォローし合っている」

という話をときどき耳にします。
こうしたエピソードからは、プライベートとは関係なく、仕事上での“仲の良さ”や“一体感”が伺えます。

距離感の遠い職場の特徴②:昼休みはそれぞれ自由に過ごしている

“距離感の遠い”人間関係は、昼休みの過ごし方にも表れます。

例えば、
「昼休みはほとんどのスタッフが帰宅や外出をしている」
「スタッフ一人ひとりに自分のデスクがあり、昼休みは読書や勉強をしている人が多い」
という職場もあります。

昼休みは労働時間ではありませんから、「“自分の時間”として有効に使いたい」という人も多いはずです。
「昼休みは各自で自由に過ごす」という風土は、スタッフそれぞれの「時間」を大切に考えている職場であることの一つの表れでしょう。

大袈裟なようですが、「それぞれの生き方」や「ライフスタイル」を、お互いに尊重し合っている職場だと言っても良いかもしれません。
これもまた一つの、“仲の良さ”だと思います。

距離感の遠い職場の特徴③:お互いの呼び方は「○○さん」

もう一つ、医院見学の際に気づきやすい特徴をご紹介します。
それは、スタッフ同士の “呼び方”や“話し方”です。

とはいえどの医院でも患者さんの前では、 “苗字+さん”で呼び合っている場合がほとんどのため、違いは出にくいでしょう。
一方で、休憩中やバックヤードなどでは、下の名前やあだ名で呼び合ったり、くだけた言葉(いわゆる“タメ語”)で話したりしている職場が多い印象です。

その中で、患者さんがいない場面でも常に“苗字+さん”で呼び合っていたり、経験年数や職種に関わらず、お互いに丁寧語で話していたりする医院もあります
そういった言葉づかいは自然に定着していることがほとんどですが、中には、職場のルールとして、「“苗字+さん”で呼ぶ」「丁寧語で話す」と決めている場合もあります。

こうした言葉づかいからは、「社会人として、節度のある人間関係なんだな」ということが想像できます。
“何でもざっくばらんに話せる友人”とはまた違った、そんな丁寧な人間関係が心地良いと感じる人も多いのではないでしょうか。

距離感の遠い職場は、こんな人にオススメ!①育児中の人

先ほども書いたように、こうした「距離感の遠い職場」は、仕事とプライベートのメリハリをしっかりつけたいと考えている人にとって、働きやすい環境でしょう。
加えて、こうした風土の職場をオススメしたいのが、育児と仕事の両立を目指している人です。

子育て中はどうしても時間的な余裕が少なくなりがちなので、
「仕事が終わったら、なるべく早く帰宅して家族との時間を過ごしたい」
「昼休みは家に帰って家事を済ませたい」
「子どもがいるから社員旅行には行きにくいな…」
と考える人も多いと思います。

でも、仕事後に食事の誘いを断ってまっすぐ帰ったり、昼休みに自分だけ帰宅したりするのは、「なんとなく引け目を感じる」という人もいるのではないでしょうか。

その点、もともとプライベートで会う習慣がなかったり、昼休みをみんなが自由に過ごしていたりする職場なら、こうした事情を抱えていても、気兼ねなく過ごせるはずです。
実際に、子育て中のスタッフが多い歯科医院の中には、「家族との時間を大切にしよう」という方針で、勤務時間外のイベントを減らしているところもあります

距離感の遠い職場は、こんな人にオススメ!②DH以外に熱中しているものがある人

以前に取材をした歯科衛生士さんに、アマチュアスポーツチームに所属しているスポーツ選手の方がいました。
ご本人の「スポーツのために仕事をしている」という言葉通り、仕事後に練習に打ち込んだり、試合前には休みを取ったりと、スポーツ中心の生活を送っている様子でした。
そして、こうした働き方ができるのは、職場の理解があるからだと話してくれました。

この方のように、「仕事の他に熱中していることがある」「仕事は生活の手段と割り切りたい」という方にも、「距離感の遠い職場」が合っていると思います。

なお、誤解がないように補足すると、このスポーツ選手の歯科衛生士さんは、職場では「社会人としての責任感」を持って、患者様と真剣に向き合っていることがヒシヒシと伝わってきました。
「仕事は生活の手段」と考えることは、「仕事を軽視している」のとはまったく違うということを、ぜひ強調しておきたいと思います。

メリハリをつけてプライベートを充実させている人こそ、「仕事の時間は、プロフェッショナルとして、与えられた役割を全力で果たしたい」という気持ちが強いのかもしれません。

自分に合った「仲の良さ」を見つけよう

さて、前回と今回の2回に分けて、スタッフ同士の距離感の「近い職場」「遠い職場」を紹介してきました。
“人間関係の良さ”は、ほとんどの人が就職先に求める条件ですが、“仲が良い”と一言で表現しても、その内容には大きな幅があることがわかっていただけたかと思います。

それぞれの環境にはそれぞれの良さがあり、「どのタイプの職場の方が優れている」ということはありません。
また、「プライベートも含めて、濃厚な関係を築ける職場で働きたい」と考える人も、「“プライベートの自分”と“仕事の自分”をきっちり分けたい」と考える人も、歯科衛生士という仕事に対する熱意は変わらないはずです。

大切なのは、「自分にとって心地良い人間関係とはどのようなものか」をしっかり考えて、そのスタンスに近い職場を見つけること。
そのためには、実際に自分の目や耳で確認することが、一番の近道です。
ぜひ、いろいろな職場に見学へ行き、自分らしく働ける職場を探してみてください。


ヤナギ

ライター、インタビュアー

2010年よりクオキャリアのさまざまな媒体で歯科医師・歯科衛生士の取材や、求人原稿・インタビュー記事の執筆など、のべ6,000件以上を担当。歯科業界の採用事情に精通している。

 

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