何ヶ月で一人前? 新人研修の“スピード”の違い|歯科衛生士知っとこ!職場の見極め塾#16

こんにちは!ライターのヤナギです。 これまでに10年以上、クオキャリアでたくさんの歯科医院を訪問したり、記事を執筆したりしてきました。
その経験から、歯科衛生士の皆さんに「自分に合った職場を選ぶためのヒント」をご紹介します。

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独り立ちは、2週間後? 1年後?

歯科衛生士として歯科医院に就職しても、すぐに一人前に仕事ができる人はいないはずです。
まずは先輩やドクターに仕事を教わり、少しずつ自分でできることが増えて、しばらくしたら、周囲の助けを借りずに一人で患者さんの診療ができるようになる。
そんな流れをなんとなくイメージしている人が多いと思います。

ところで、この「一人で患者さんの診療ができるようになる」のって、入職して2週間後でしょうか?
それとも、1年後でしょうか?

実はこの期間は、歯科医院によって大きく異なるのです。
今回の記事では、この「新人研修の“スピード感”」について見ていきたいと思います。

 

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標準的な新人研修のスピード

まずは、標準的な新人研修のペースを確認しておきましょう。
多くの歯科医院では、次のようなペースで新人研修を進めています。

1ヶ月目:見学やアシスタント中心、並行してスケーリングやTBIの練習
2〜3ヶ月目:スケーリングやTBIを少しずつ実践
3〜6ヶ月目:クリーニングの独り立ち
6〜12ヶ月目:SRPができるようになる

このように、入職して3〜6ヶ月間の新人研修を経て「独り立ち」をする医院が多いですが、この時点で、重度の歯周病の患者様を完全に一人で診ているケースは少ないです。

予防のリコール(再診)や軽度の歯周病治療が一人でできるようになった後も、SRPなどの難易度の高い手技については、引き続き先輩の指導や練習が行われます。
そして入職して1年ほどたつと、SRPも一人でできるようになっていることが多いようです。

研修スピードが遅い医院の例

標準的なスピード感がわかったところで、それよりもゆっくりとした研修スピードのケースを見てみましょう。
ある歯科医院の新人研修は、次のようなペースで進んでいきます。

・最初の1年間はアシスタント中心
・2年目から歯周病治療を学び始める
・SRPは3年目ころからスタート

標準的なペースに比べると、アシスタントの期間がかなり長く取られています。
まずはその医院で行われている治療の全体を把握し、歯科診療の知識を総合的に身につけることを重視しているためです。
それによって、2年目以降に歯周病治療を行う際にも、ドクターの治療の流れを踏まえて進められたり、患者さんの相談にしっかり乗れたりするというメリットがあります。

このようにゆっくりとしたペースで研修が進む医院では、新人さんのスキルの習得が、あらかじめ計画されたカリキュラムに沿って、「研修ベース」で行われていると言えるでしょう。

研修スピードが遅い医院は、こんな人にオススメ

研修スピードが遅い医院は、次のような人に合っているでしょう。

・じっくり基礎を固めたい人
・自分のスキルに不安がある人
・何事もしっかり準備をしてから、計画的に臨むタイプの人
・臨機応変に対応するのが苦手な人

研修スピードが速い医院の例

次は逆に、研修スピードが速い歯科医院のケースを見てみましょう。
例えば、こんなスケジュールで新人研修が進む職場もあります。

・最初の1週間は見学やアシスト
・入職後1週間ほどでスケーリングの実践がスタート
・数週間後に一人で患者さんを診るようになる
・SRPも、必要な症例があればその都度実践

入職して数週間後には、ある程度“独り立ち”をしているというスピード感です。
もちろん一人で患者さんを診るようになった後も、放っておかれるわけではなく、難しい症例は先輩やドクターがサポートしてくれるので心配いりません。

このように速いスピードで研修が進む医院は、知識を先にインプットするのではなく、実際に患者さんを診ながら「実践ベース」で、必要な知識や技術をその都度学んでいくという育成スタイルです。

研修スピードが速い医院は、こんな人にオススメ

研修スピードが速い医院は、こんな人にオススメ

・座学での勉強が苦手で、自分の手を動かしながら学びたい人
・歯科衛生士として、少しでも早く患者さんの診療をしてみたい人
・歯科助手のアルバイト経験があり、患者さんへの接し方や、治療の流れに慣れている人

まとめ:自分に合った「研修のスピード」を考えてみよう

ここまでみてきたように、研修の“スピード感”は医院ごとに大きく違います。
自分のイメージや性格と合わない職場に就職すると、

「なかなか患者さんに触らせてもらえない」
「いつまでもアシストばかりでつまらない」
「もう患者さんを任されるなんて不安」
「知識がないのに患者さんに質問されるのが怖い」
など、ストレスや不満につながってしまいがちです。

そんな“ミスマッチ”を避けるためには、就職前にしっかり情報収集をして、自分と合う職場を探すことが大切です。
ぜひ、医院見学をしたり、先輩の話を聞いたり、就活BOOKの特集記事を読んだりしてみてください。
そして、「何ヶ月後くらいに、一人で患者さんを診てみたいかな?」と、具体的にイメージしてみることがおすすめです。


先輩歯科衛生士のインタビュー記事が読める!「就活BOOKクオキャリア」

なお、就職後にほかの職場で働いている同級生と話をすると、研修の進み具合や、業務内容の違いに不安を感じることがあるかもしれません。
ですが、大事なのは「どれだけ早く業務をこなせるようになるか」ではなく、最終的に、歯科衛生士としてのスキルをしっかり身につけること
ほかの人と比べて焦るよりも、自分に合った環境で働くことの方が、ずっとあなたの成長につながるのです。

皆さんが、自分なりに思い描いた歯科衛生士生活をスタートできるように、応援しています!


ヤナギ

ライター、インタビュアー

2010年よりクオキャリアのさまざまな媒体で歯科医師・歯科衛生士の取材や、求人原稿・インタビュー記事の執筆など、のべ6,000件以上を担当。歯科業界の採用事情に精通している。

 

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