“先輩がいない”だけで候補から外すのは、もったいない!|歯科衛生士知っとこ!職場の見極め塾#18

こんにちは!ライターのヤナギです。 これまでに10年以上、クオキャリアでたくさんの歯科医院を訪問したり、記事を執筆したりしてきました。
その経験から、歯科衛生士の皆さんに「自分に合った職場を選ぶためのヒント」をご紹介します。

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“先輩がいない=NG”と考えていませんか?

就職先を探す際の希望として、「先輩歯科衛生士がいる職場」を挙げる人が多いかもしれません。
たしかに、歯科衛生士という同じ立場で仕事をしていたり、業務を教えてくれたりする先輩がいることは、とても心強いはずです。

ところで、仮に、

「診療内容は自分の学びたい内容に合っている」
「院長の考え方にもすごく共感できる」

という医院に出会えたとします。
しかし、その医院には歯科衛生士はいない…という状況に置かれたら、皆さんはどう考えるでしょうか。

もし、「先輩がいないなら、やめておこう」と思ったとしたら、それは少しもったいない選択かもしれません。
なぜなら、「先輩がいない職場」にも、実は、隠れたメリットがあるからです。
実際に、あえて「歯科衛生士がいない職場」を選んだ先輩もいます。

今回はそんな「隠れたメリット」をご紹介してみたいと思います。

「先輩がいない職場」の隠れたメリット①:人と比べられない

同じ職場で複数の歯科衛生士が働いている環境だと、どうしても

「○年目なら、だいたいこんなことができるはず」
「○○さんはこのくらいの時間で処置ができるのに、××さんは時間がかかるな」

など、意識的に、あるいは無意識のうちに、歯科衛生士同士のスキルを比べてしまうことがあると思います。

もちろん、歯科衛生士が複数いる場合であっても、一人ひとりのペースを大切にしている職場も多いです。
ただ、歯科衛生士がいない職場ならば、そもそも「比べる相手」がいないですよね。

そう考えると、「先輩歯科衛生士がいない職場」は、自分のペースで仕事を覚えたり、診療をしたりしやすい環境だと言えるでしょう。

「先輩がいない職場」の隠れたメリット②:予防のシステムを自分でつくれる

皆さんがよく知っている通り、歯科衛生士は「予防歯科」を中心となって担う存在です。
多くの歯科医院では、「主訴があって来院した患者さんは、まずは歯科医師が治療を行い、治療終了後は歯科衛生士が主体となって予防管理を行う」という流れができています。

特に歯科衛生士の人数が多い職場では、歯科衛生士が自分の患者さんを持って数ヶ月ごとに定期検診行うフローが確立していたり、自費の予防コースが用意されていたりと、ある程度決まった「予防システム」が設けられていることがほとんどです。

一方で、歯科衛生士が在籍していない歯科医院には、「予防歯科」の仕組みがないことが多いです。
歯科医師はどうしても治療に時間を使いますから、予防まではなかなか手が回らないのだと思われます。
例えば、治療が終わった患者さんのうち、一部の人だけがたまにクリーニングに来て、歯科医師が治療の合間に歯石を取っている、というケースもあるでしょう。

こうした歯科医院に入職した場合、

  • 治療終了後にどのように予防につなげるか
  • 予防処置の内容や時間配分はどうするか
  • ケア用品はどのようなものを販売するか

といったことから、比較的自由に自分で考えることができます(もちろん、医院の方針にもよりますし、歯科医師と相談して決めていくことが前提です)。

その医院や地域の患者さんの歯を守るために、ゼロからつくっていけることがたくさんあるとしたら、ちょっとワクワクしませんか?

「先輩がいない職場」の隠れたメリット③:歯科医師から指導を受けられる

歯科衛生士がいる歯科医院に入職すると、多くの場合、新人教育は先輩歯科衛生士が中心となって行います。
このコラムの最初にも書いたように、自分と同じ立場で診療に関わる人から教えてもらえるというのは、大きな安心感があるはずです。

一方で、歯科衛生士のいない職場に入職した場合、アシストや事務作業などは歯科助手スタッフが教えてくれることもありますが、口腔内で行う処置については、必然的に歯科医師が指導をすることになります。
歯科医師になるためには大学で6年間学ぶ必要があることからもわかるように、歯科について、特に「治療」についての知識は、一般的に歯科衛生士より歯科医師の方が多く持っています。

そのため、歯科医師から直接教わることによって、歯科治療に関するより深い知識や考え方を吸収できます。

また、指導は院長や理事長など経営者である歯科医師が行うことが多いので、診療方針や考え方を直接聞くことができ、医院の方向性をつかみやすいというメリットもあります。

「先輩がいない職場」の隠れたメリット④:歯科衛生士の役割を尊重してもらえる

ここで少し、歯科医師の立場で考えてみましょう。
今までは患者さんの口の中を触れないスタッフだけだったところに、自分で処置のできる歯科衛生士が入職してくれたとしたら、どうでしょうか。
診療の中で一緒に担ってもらえることが格段に増え、ものすごくありがたく感じると思います。

実際に、あえて「先輩がいない職場」を選んだ理由として、「自分が入ることで、院長の役に立てると思ったから」と話してくれた歯科衛生士さんもいました。

「人の役に立ちたい」という気持ちで歯科衛生士を目指した人も多いと思いますが、その“人”には、“一緒に働く人”も含まれるのではないでしょうか。
歯科衛生士がいない職場に入職した場合、「歯科衛生士として、役に立てているな」「頼りにされているな」と感じる瞬間が、きっとたくさんあると思います。

また、それまで「歯科医師」と「無資格のスタッフ」だけだったところに「歯科衛生士」が加わった場合、周りの人たちから、歯科医師と並ぶ“プロフェッショナル”として扱ってもらえることも多いのではないでしょうか。

まとめ:思い込みをなくして、考えてみることが大切

ここまで見てきたように、「歯科衛生士がいない」という環境には、一見デメリットに見えても、逆にとらえるとメリットとなる要素も多いです。
中には、「先輩がいない環境の方が合っている」という人もいるでしょう。
「歯科衛生士がいない」というだけで就職先の候補から外してしまっているとしたら、思い込みによって自分の選択肢を狭めてしまっているかもしれません。

なお、歯科衛生士がいない職場の中には、

  • フリーランス歯科衛生士を招いて、指導をしてもらう予定
  • 外部セミナーへの参加をバックアップしている

など、先輩がいなくても安心して学べる環境を整えているところもあります。
こうしたサポート体制も、ぜひチェックしてみてください。

最後に、少し大きな話になりますが、先輩の有無に限らずほとんどの物事には、「メリット」と「デメリット」の両方の側面があるものです。
「○○だからダメ」と決めつけずにいろいろな視点から考えてみることで、自分の新たな可能性に出会えるかもしれません。


ヤナギ

ライター、インタビュアー

2010年よりクオキャリアのさまざまな媒体で歯科医師・歯科衛生士の取材や、求人原稿・インタビュー記事の執筆など、のべ6,000件以上を担当。歯科業界の採用事情に精通している。

 

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