歯科衛生士の“ステップアップ”は、診療スキルだけじゃない!|歯科衛生士知っとこ!職場の見極め塾#22

こんにちは!ライターのヤナギです。 これまでに10年以上、クオキャリアでたくさんの歯科医院を訪問したり、記事を執筆したりしてきました。
その経験から、歯科衛生士の皆さんに「自分に合った職場を選ぶためのヒント」をご紹介します。

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歯科衛生士にも“役職”がある!?

突然ですが、“社会人っぽいセリフ”って、どんなものをイメージしますか?
オフィスで「○○主任」「○○課長」と呼んでいたり、若手同士で「うちの上司がさ〜」と噂話をしたり…

このような“役職”(”肩書き“とも言います)や、「上司/部下」という関係性は、一般企業ではごく当たり前のものです。
学生とは大きく違う、社会人という立場の象徴と言っても良いかもしれません。

しかし、歯科医院は一般企業に比べて比較的規模が小さいことや、役職よりも“職種”が重視されることから、肩書きを設けていない職場も多いです。

そのような業界特有の環境に対して、

「ステップアップがしにくいのでは」
「社会人としての一般常識が身につかないのでは」

という不安を抱いている人もいるかもしれません。

しかし、歯科医院の中にも、しっかりと組織をつくり、役職を設けているところもあります。
そこで今回は、歯科衛生士の役職にはどのようなものがあるのか、そしてそれが、歯科衛生士が働く上でどのようなメリットになるのかをご紹介したいと思います。

歯科衛生士の“役職”

歯科衛生士の役職としては、次のようなものが設けられることがあります。
同じ役職でも職務内容は職場によって異なりますが、ざっくり分類すると下記のような場合が多いです。

新人教育担当

入職して2年目以降になると、「新人教育担当」という肩書きを与えられることがあります。
「教わる側」から「教える側」になった証しです。

主任

「主任」は一般企業でもよく使われており、一般社員から最初にステップアップするときの肩書きです。
歯科衛生士も、入職3年目頃から「主任」の肩書きがつくことがあります。
後輩指導をはじめ、任される仕事の範囲や責任が増えていきます。

“主任”の先輩歯科衛生士に、心構えの変化を聞いてみました!
入職して4年目のときに、主任に昇格しました。それまでは自分の業務が中心でしたが、主任になってからは、後輩はもちろん他職種も含めたクリニック全体のことを考えるようになりました(キャリア7年目の歯科衛生士さん)

○○係

診療と並行して、材料の管理や業者対応、イベントの企画など、診療以外の仕事を担当します。

サブリーダー/サブチーフ

歯科衛生士長やリーダーの補佐的な役割です。
リーダークラスのスタッフが休みの場合などに、リーダー業務を代行します。

歯科衛生士長/リーダー/チーフ

その医院に所属している歯科衛生士のトップです。
一人ではなく、複数の歯科衛生士が一緒に担う場合もあります。
主な業務は、シフトや教育体制の管理、スタッフの面談などで、他職種のリーダーと一緒に「リーダー会議」に参加することも多いです。

“チーフ”の先輩歯科衛生士に、仕事内容を聞いてみました!
院内の歯科衛生士を代表して、「この機械を導入してほしい」などの要望を院長に伝えることもあります。先日は提案が採用されて、エアフローを購入してもらいました。(キャリア7年目の歯科衛生士さん)

マネジャー(マネージャー)

「歯科衛生士」という職種の枠を越えて、医院の経営面の数字管理や計画立案なども担う役割です。

理事

医院が法人化している場合、経営層の一員となり、法人の意思決定の権限を持ちます。

採用担当

歯科衛生士の人材採用を任される立場です。
応募者への対応や、面接、評価などを担当します。
医院の診療の質や将来性を左右する、とても重要な役割です。

役職が設けられていることのメリット

モチベーションが上がる

自分の成長が“役職”という客観的な形になるので、仕事を頑張るモチベーションにつながります。
また、肩書きがつくことによって、「後輩や部下のお手本にならなくては」といった自覚も芽生えるでしょう。

仕事の範囲や流れがはっきりする

「この仕事の責任者は誰なのか」
「情報伝達は誰から誰にするのか」
といった業務の範囲や流れが明確になることで、余計なストレスなく仕事がスムーズに進み、改善などもしやすくなります。

昇給する

役職がつくことを目安に、給与が上がる仕組みをとっている職場が多いです。

社会人としての基本が身に付く

以前に取材をしたある職場で、若手の歯科衛生士さんが上の役職の先輩のことを、「私の上司が」と表現していました。
歯科医院ではなかなか聞かないワードですが、一般企業では当たり前の表現です。
こうした社会人としての感覚や言葉遣いが自然と身につくことも、役職を設けている職場で働くメリットの一つでしょう。

役職を「設けない」良さもある

ここまで、役職を「設けている」ことの良さを見てきましたが、逆に次のように、役職を「設けない」ことの良さもあります。

  • 「上下関係」ではない、フラットな立場で意見交換ができる
  • 全員が医院全体に目を配る習慣がついている場合が多く、仕事が「他人任せ」にならない。

こうした風土に魅力を感じる人は、あえて、役職を設けていない職場を選ぶというのも「アリ」でしょう。

まとめ:「キャリアパス」も、歯科衛生士の仕事の楽しみ方の一つ

歯科衛生士のステップアップというと、「診療の技術や知識を磨く」ことを思い浮かべる人が多いと思います。
これはもちろん医療職として重要ですが、それとは別に、「組織の中での役割を果たす」という視点でのステップアップもあります。

任されることの範囲が増えたり、診療以外でさまざまな業務を経験できたりすることも、歯科衛生士という仕事を楽しくしてくれるポイントです。

このような、“組織の中で、どのような道をたどって仕事をしていくか”という過程のことを「キャリアパス」と呼びます。
キャリアパスがしっかりと描かれている職場は、組織の体制が比較的整っている、いわば、“一般企業に近い”職場だと考えられます。

キャリアパスに関心のある人は、求人情報にそうした記載があるかをチェックしたり、インタビュー記事に登場する先輩の“役職”に注目してみたりすると良いでしょう。


ヤナギ

ライター、インタビュアー

2010年よりクオキャリアのさまざまな媒体で歯科医師・歯科衛生士の取材や、求人原稿・インタビュー記事の執筆など、のべ6,000件以上を担当。歯科業界の採用事情に精通している。

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