「情報」は多ければ多いほど良い…わけじゃない!?|歯科衛生士知っとこ!職場の見極め塾#23

こんにちは!ライターのヤナギです。 これまでに10年以上、クオキャリアでたくさんの歯科医院を訪問したり、記事を執筆したりしてきました。
その経験から、歯科衛生士の皆さんに「自分に合った職場を選ぶためのヒント」をご紹介します。

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情報は、「取捨選択」が大切

自分が就職する職場を選ぶときには、どうしても慎重になるものです。
求人票だけでなく、求人サイトや求人誌、採用パンフレット、医院のホームページ、口コミサイト、知り合いの話など、いろいろなツールを駆使して情報を集める人もいるでしょう。
その中で、「何か一つでもマイナスの情報が出てきたら、応募を見送る」という人もいるかもしれません。

しかし実は、そうしたたくさんの情報の中には、「気にした方が良い情報」と「気にする必要がない情報」があります。
さまざまな角度から情報を集めること自体はとても大切ですが、その情報をどう判断するかには注意が必要です。

“どこから得た情報を重視すべきか”をしっかり意識していないと、「気にする必要がない情報」に振り回された結果、本当に大切なことを見失ってしまうこともあるのです。

そこで今回は、就職先選びにおける「情報の取捨選択」について考えていきたいと思います。

気にする必要がない情報(1):口コミサイトの書き込み

気にする必要がない情報、つまり、当てにならない情報の代表が、「匿名性(とくめいせい)の高い情報」です。
「誰が発信したのかわからない情報」は、就職先選びの参考にはほとんどならないと考えて良いでしょう。

その代表的なものが、「口コミサイトの書き込み」です。
患者さん向けの医療機関の検索サイトやGoogleマップなどには「口コミ機能」がありますが、その多くの場合で、ニックネームや偽名が使われています。
言ってしまえば、「無責任な情報」なのです。

応募先の候補になっている歯科医院に対して、患者さんの口コミで悪い評価が書いてあったとしても、あまり気にする必要はありません。

代わりに気にすべきなのは、「見学時の患者さんの様子」

しかしもちろん、「患者さんと医院の関係が良好かどうか」は、就職先を選ぶ際に気になることの一つだと思います。
その点を確認するには、「医院見学」がとても役立ちます。

診療の見学をするときには、もちろん、治療内容や歯科衛生士が何をしているかをチェックすると思います。
それと同時に、患者さんの様子や、患者さんとスタッフの関わり方にも、ぜひアンテナを張ってみてください。

例えば、次のようなチェックポイントがあります。

◆患者さんが受付に来た時の、スタッフの対応は?
スタッフと患者さんがお互いに笑顔であいさつをしていたり、世間話をしたりといった様子が見られたら、良い関係が築けていることがわかります。
◆チェアサイドでの、歯科衛生士や歯科医師と患者さんの会話の内容は?
生活背景にまで踏み込んだ話ができていたり、ユニットで笑い声が響いたりしていれば、信頼関係が築けていることがわかります。
また、患者さんから歯科衛生士や歯科医師に「質問」をしていたり、患者さんがスタッフの名前を覚えて呼んでいたりすることも、良好なコミュニケーションが取れている一つの指標になるでしょう。

ただし、患者さんをジロジロ見たり、治療中に近寄りすぎたりすると迷惑になるので、その点は十分に注意して見学をしてください。

気にする必要がない情報(2):又聞き(またぎき)の話

もう一つ、情報があてになるかどうかを判断する基準の一つが、「“知りたいこと”と“自分”との間に、何人の人が入っているか」です。

具体的に、「○○歯科医院の院長の人柄」が知りたいと思った場合で考えてみましょう。
次のような、4つの情報を得たとします。

  1. ○○歯科医院を見学したときに、院長と直接話した印象
  2. ○○歯科医院で働いているAさんから直接聞いた、院長の人柄
  3. Aさんの友人のBさんから聞いた、○○歯科医院の院長の人柄
  4. 「○○歯科医院の院長って怖いらしいよ」という噂話

この場合、“知りたいこと”、つまり“院長”と“自分”の間には、何人の人が入っているでしょうか。

  1. 0人
  2. 1人(Aさん)
  3. 2人(AさんとBさん)
  4. 数えられないほどたくさん

です。さて、皆さんはこの1〜4の中で、どの情報を参考にしますか?

当たり前ですが、一番信頼できるのは1(自分の体験)です。
そして次に、2(一緒に働いている人から直接聞いた話)でしょう。
3あたりになってくると信頼性がかなり下がり、4までくると、先ほど見た「口コミサイト」の書き込みと同様に、「無責任な情報」となります。

このように、間に入る人が増えるにつれて、情報の信頼度は下がります。
なぜなら、人間には「主観」、つまり、個人の考え方のフィルターがあるからです。
みんながそれぞれのフィルターを通して情報を解釈しているので、人から人へ情報が伝わるにつれて、伝言ゲームのように内容が変わってしまうことが多いのです。

たくさんの違った情報を抱えて判断に迷ってしまったときには、ぜひ、この点を意識して情報を見比べてほしいと思います。

間に「2人」入っている情報は、どのくらい信用できる?

先ほどの情報の例の③で挙げた、「Aさんの友人のBさんから聞いた、○○歯科医院の院長の人柄」で考えてみましょう。

あなたがBさんから、「友達(Aさん)が○○歯科医院で働いているんだけど、こないだ院長から怒られたんだって」という話を聞いたとします。

あなたは、「院長が怒りっぽいのなら、○○歯科医院に就職するのはやめておこう」と思うかもしれません。

でも、○○歯科医院の院長は、本当に怒りっぽいのでしょうか。

  • Aさんは軽い気持ちで、Bさんにたわいのない愚痴をこぼしただけなのかもしれない。
  • Aさんは「ミスをしたら、院長に“次から気をつけてね”と言われた」と話しただけなのに、Bさんが勝手に「怒られた」と解釈したのかもしれない。
  • 院長が毎日ひどく怒ることに、Aさんは悩んでいるのかもしれない。
  • Aさんは別のことでイライラしていたため、院長からミスを指摘されたときに「怒られた」と捉えたのかもしれない。

少し考えただけでも、こうした可能性がいくつも浮かんできます。
「どんなシチュエーションで、どの程度怒られたのか」は、Aさん本人に聞いてみないとわかりませんし、Aさんに聞いても、Aさん自身の視点からの情報しかわかりません。

間に2人入っただけでもこのように不確かな情報になってしまうので、ましてや、誰が発信したのかも分からない「噂話」は、ほとんど気にする必要はありません。

噂が気になったら、「自分で直接確認する」のが◎

そうは言っても、自分が応募しようかなと考えている医院の、「マイナスの評判が気になる」という人もいるでしょう。
そんなときには、自分の目や耳で、より信頼できる情報を集めるのがオススメです。

ぜひ実際に医院見学に行き、実態を確認したり、働いている先輩に直接質問をしたりしてみましょう。
「うちの院長、怖いってよく言われるけど、怒られたことは一度もないよ」など、不安を払拭する情報がもらえるかもしれません。

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まとめ:「どんな情報を見ても評判が良い医院」はない

最初の話に戻りますが、「ベストな選択をしたい」という思いから、「すべての情報において、良い評価がされている医院」を探したくなる気持ちはとても理解できます。

しかしここまで見てきたように、情報には発信者の主観が入っているものですし、情報が伝わっていくうちに内容が変わることもあります。
特にネット上では、無責任に情報が発信されることも多いものです。

そのため、「マイナスの評価がまったくない医院」は、ほぼ存在しないと考えて良いでしょう。
「すべてにおいて評価が良い医院」を探していると、「就職先を選べずに、時間だけが過ぎてしまう」という失敗に陥りがちです。

本当に自分に合った職場を選ぶためには、「重視すべき情報」「気にしないで良い情報」を、しっかり見極めることが大切。
噂話に惑わされず、「自分の目や耳で確かめたこと」を、しっかり信じてあげてください!


ヤナギ

ライター、インタビュアー

2010年よりクオキャリアのさまざまな媒体で歯科医師・歯科衛生士の取材や、求人原稿・インタビュー記事の執筆など、のべ6,000件以上を担当。歯科業界の採用事情に精通している。

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