スタッフの“年齢層”に注目!|歯科衛生士知っとこ!職場の見極め塾#26

こんにちは!ライターのヤナギです。 これまでに10年以上、クオキャリアでたくさんの歯科医院を訪問したり、記事を執筆したりしてきました。
その経験から、歯科衛生士の皆さんに「自分に合った職場を選ぶためのヒント」をご紹介します。

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スタッフの“年齢層”は重要な要素

歯科医院によって、「若いスタッフが多い」「30〜40代のママさん世代が多い」など、スタッフの年齢層には違いがあり、それが職場環境を大きく左右しています。

皆さんの中にも、“自分がどんな職場で働きたいか”を考えた時に、

「同年代のスタッフが多い職場で働きたい」
「ベテランの先輩から教わりたい」

など、スタッフの年齢層を軸に、理想の職場をイメージしている人がいるかもしれません。

今回の記事では、スタッフの年齢層の違いが、職場の雰囲気や新人教育、学べる内容などに、具体的にどのように影響するのかを見ていきたいと思います。

※なお、最近では社会人経験などを経て歯科衛生士養成校に入学する方も増えていますが、この記事では、高校卒業後すぐに養成校に入学した場合(卒業時には21歳前後)を想定してスタッフの年齢構成を考えています。
また、入職者側も、21歳前後の新卒入職の場合を想定しています。
社会人経験などのある方の職場選びについては、今後、別の記事で取り上げる予定です。

スタッフの年齢層が“低い”職場のメリット

まずは、スタッフ全員が20代以下、という場合を考えてみましょう。
歯科衛生士の経験年数は卒後1〜5年目、歯科助手は10代のアルバイトスタッフもいる、“ザ・フレッシュ”な職場という設定です。

このような職場では、次の3つのメリットが考えられます。

1.スタッフ同士の関係がフラット

先輩との年齢差をあまり気にせず、フランクな関係を築けることが多いです。
また、先輩もその医院に入職してからの年数が浅いので、「新人だから」という壁を感じることなく、職場に溶け込みやすいでしょう。
意見やアイデアがあるときにも、あまり遠慮せずに発言ができそうです。

加えて、早いうちから“リーダー”のような立場に立ったり、後輩の指導を担当したりすることも多く、そういった中で成長できることも若いメンバーが多い職場のメリットです。

2.新人の気持ちに共感してもらいやすい

先輩も新人の頃の記憶がまだ新しいため、「自分もここでつまずいたよ」「ここが難しいよね」など、共感をしてもらえることが多いでしょう。
ささいな疑問があったときも、「こんなことを聞いて呆れられないかな」と不安に思わずに、気軽に質問できそうです。
“教える側”と“教わる側”がきっちり分かれるのではなく、“一緒に成長する”という感じでリラックスして学べるのではないでしょうか。

3.話しやすい、話が合う

スタッフ間のジェネレーションギャップがないので、話題選びに困ることも少ないでしょう。
休みの日に一緒にショッピングに行くなど、スタッフ同士が友達のようなお付き合いをしているというケースもよくあります。
“学生時代の延長”のような気持ちで、スムーズに仕事をスタートできそうです。

スタッフの年齢層が“低い”職場のデメリット

一方で、次のようなデメリットも考えられます。

1.業務への理解が深まりにくい

歯科衛生士の経験年数が1〜5年ということは、先輩たちも患者様の経過を長期的に管理した経験がなく、スキルについてもまだ身に付けている途中でしょう。
そのため、先輩から教えてもらえる内容には限界があります。

ただし、こうしたデメリットをカバーするため、フリーランスの歯科衛生士による指導を取り入れている職場もあります。
また、院長などドクターから学んだり、外部の勉強会に参加したりすることでも、このデメリットを補うことができるでしょう。

2.長期的なキャリアが描きにくい

若いスタッフばかりの職場だと、

「この職場で10年働いたらどうなるんだろう?」
「歯科衛生士として、20年後にどのように成長していたい?」

といった、長期的なキャリアのイメージが描きにくいかもしれません。
しかしこれは逆に、前例にとらわれずに、自分の興味やペースに合わせてキャリアアップを目指せる環境だとも言えます。

3.若年ならではの衝突が起こることがある

年齢を重ねると、さまざまな人生経験を経てだんだんと寛容になっていくものですが、若い頃にはどうしても、すぐに感情的になってしまったり、視野が狭かったりする傾向があります。
若いスタッフばかりの職場だと、小さなきっかけでもめごとが起きてしまう可能性が比較的高いかもしれません。
もちろんこの点は、スタッフの人柄に大きく左右されることなので、見学の際などに先輩たちとよく話をして、スタッフの人間関係を確認しましょう。

スタッフの年齢層が“高い”職場のメリット

さて、次に、スタッフの年齢層が高い職場について見ていきます。
例えば、歯科衛生士スタッフについて、20代後半が1人、30代が3人、40代が4人、50代が1人、という職場の場合です。
経験年数としては、卒後5年目、10年目、20年目、25年目、35年目がそれぞれ在籍していると想定してみましょう。
まさに“ベテラン揃いの職場”という印象です。

スタッフの年齢層が高い職場のメリットは、大きく分けると次の3つが挙げられます。

1.豊富な経験に基づいた指導を受けられる

歯科衛生士として何十年も働いていれば、さまざまな患者さんに出会い、幅広い症例を診てきたはずです。
そうした経験から得た知識や技術を教えてもらえるのが、ベテランの先輩がいる医院の大きなメリットです。
業務内容への理解が深まり、患者さんとのコミュニケーションの幅も広がるでしょう。

2.ステップアップがイメージしやすい

5年後、10年後、20年後に、「自分がどんな衛生士になりたいか」「どんな働き方がしたいか」ということを、身近な先輩たちの背中を見ながらじっくり考えることができます。
認定資格取得や学会発表などの前例がある場合も多く、ステップアップへの挑戦もしやすいでしょう。

3.“お母さん”のようにサポートしてもらえる

スタッフの年齢層が高い分、結婚、育児、介護など、プライベートでもそれぞれがいろんな人生経験を積んでいます。
一人ひとりが自立しており、落ち着いた雰囲気が感じられることが多いです。

先輩たちが若いスタッフを子どものようにかわいがってくれるなど、仕事はもちろん精神面で支えてもらえる場面も多いでしょう。
また、実際に自分が子育てをすることになった際に、アドバイスがもらえたり、急な休みなどの事情を理解してもらえたりといったメリットもあります。

スタッフの年齢層が“高い”職場のデメリット

では逆に、スタッフの年齢層が高い職場のデメリットとは、どういったことでしょうか。
主に、次の3点が考えられそうです。

1.新人の気持ちや状況が理解されにくい

仕事を始めてから何十年もたったベテランのスタッフは、

「新人はどこまでの業務が一人でできるのか」
「どういったことを不安に感じているのか」

といった感覚を忘れてしまっていることもあるでしょう。
実際に、学校のカリキュラムが変わっている部分もあります。

そのため、わからないことがあったときには自分から質問や相談をする姿勢が大切だと言えます。
また、あらかじめ、どんな教育体制があるのかをしっかりチェックしておくと安心です。

2.話が合わないことがある

ファッションやメイク、芸能人、SNSの話題などは、年齢の差があるとあまり盛り上がらないかもしれません。
先輩たちの育児や介護の話題についても、あまり興味がないなと感じることもあるでしょう。

ただ、“いろいろな年齢の人と、楽しく話をするスキルや姿勢”は、患者さんとの関係づくりに不可欠なものです。
加えて、異なる年代の人との関わりは視野を広げるきっかけになり、自分の人生をも豊かにしてくれるはずです。

そのように考えると、年齢の離れたスタッフとのコミュニケーションは、常に同世代と過ごす学生時代とは違う、“社会人”としてのステップアップのチャンスと言えるでしょう。

3.後輩がなかなか入ってこない可能性がある

スタッフの年齢層が高い職場は、「新人を採用するのが久しぶり」という場合が多いです。
そのため、自分が入職した後も、しばらくは新人が入ってこない可能性があります。
「後輩に教えることで自分も成長する」という経験は、すぐにはできないかもしれません。

この点は逆に、“教えてもらえる期間が長い”というメリットとして捉えることもできます。じっくり時間をかけて成長したい人には、こうした職場が向いているでしょう。

職場での人間関係を“良い出会い”にするために

スタッフの年齢層による職場環境の違いが、具体的にイメージできたでしょうか。
実際には、こうした両極端の年齢構成の医院ばかりではなく、各年代がバランス良く在籍している職場も多いです。
ただ、自分には“若めのスタッフが多い職場”“年齢が上のスタッフが多い職場”のどちらが合うかなと考えてみることが、職場選びの参考になるでしょう。

職場での人間関係は、自分の生活や人生に大きく関わってくるものです。
だからこそ、“誰かにとって”ではなく、“自分にとって”ベストな職場を選ぶことが重要なのです。
そして、どのようなタイプの職場に就職するとしても、周りの環境に甘えすぎずに、「より良い人間関係をつくろう」と自分から努力することが大切です。

皆さん一人ひとりの“人生の財産”になるような、すてきな出会いがあることを祈っています。


ヤナギ

ライター、インタビュアー

2010年よりクオキャリアのさまざまな媒体で歯科医師・歯科衛生士の取材や、求人原稿・インタビュー記事の執筆など、のべ6,000件以上を担当。歯科業界の採用事情に精通している。

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