結婚後、仕事はどうする?《働き方編》「働き続ける/転職する/仕事を辞める…それぞれのメリットややるべきこと」|キャリコン歯科衛生士のお悩み相談室#4

皆さん“キャリア”というと計画を立てその道筋に沿って進んでいく…というイメージが強いかもしれません。
しかし実際、そんな教科書通りにうまくいくことばかりではないはずです。
キャリアってなんだか難しそう、そこまで考える必要があるのかな…と思う方もいるでしょう。

本連載は歯科衛生士と国家資格キャリアコンサルタントのダブルライセンスを持つ冨澤幸子さんが、歯科衛生士としての臨床経験のほか、歯科衛生士養成校の教員や一般企業での勤務経験など多彩なキャリアを歩んできた経験を活かし、皆さんのキャリアのお悩みにお答え。
歯科衛生士という道を選んだ皆さんがその資格を活かして楽しく職業人生を送れるよう、考え方・生き方のヒントをお伝えしていきます。

キャリコン歯科衛生士のお悩み相談室
第1回 私が自分のキャリアを前向きに受け入れられるようになるまで
第2回 卒後1年以内に辞めてしまった。これから歯科衛生士としてやっていける?
第3回 仕事には慣れてきたけど同じことの繰り返し…転職した方が良い?

プロフィール

冨澤幸子

歯科衛生士/国家資格 キャリアコンサルタント

とみざわ さちこ/金融機関での営業職を経て、歯科衛生士にキャリアチェンジ。歯科衛生士養成校を卒業後、歯科クリニックや市役所、歯科衛生士養成校に勤務。現在は企業の人材確保・採用支援に関わる仕事に携わっている。

悩んだらまず、ここまでの成長を振り返ってみよう

今回のお悩みはこちら!

付き合ってる彼氏といよいよ結婚、一度にたくさんのことを考えるのも大変だし、歯科衛生士の仕事をどうしようか悩んでいます。

結婚のタイミング、家族との挨拶や住居をどうするか、結婚式を挙げるかどうか、等々考えることがたくさんあって、その上仕事も……となると幸せなことではあるけれど本当に大変ですよね。
結婚は、人生の中でライフスタイルに変化をもたらすイベントの一つです。その先にある妊娠や出産、パートナーの仕事状況などを想像すると、このまま仕事を続けるか、働き方はどうしよう、等悩みますよね。結婚後も家事分担など、独身の時よりプライベートの時間にやらなくてはならないことも増えるかもしれませんね。

最近の世の中の状況として、出生動向基本調査の結果を見てみると、結婚後に仕事を辞める人の割合は年々少なくなっており、最新のデータでは約14.0%結婚後も働き続ける女性は増えてきています。あなたは結婚後の毎日をどのよう思い描いているでしょうか。

今回は3回に分けて、「あなたのこれからの人生にとって、今どうすると良いのか」をテーマに「結婚後、仕事はどうする?」を一緒に考えてみましょう。

結婚後、仕事はどうする?
Part.1《働き方編》働き続ける/転職する/仕事を辞める…それぞれのメリットややるべきこと(この記事)
Part.2《ライフキャリア編》結婚後、仕事は続ける? どんな自分でありたい?(3/15公開予定)

まず、
今回は、働き方編!
「今の仕事を続ける」、「今よりも時間にゆとりを持てる医院や雇用形態で働く」、「仕事を辞め専業主婦になる」など、選択肢は様々です。

どんな選択肢にせよ、「どのような理由でそう考えたか」をぜひ整理してみて欲しいと思います。整理をすることで、より良い選択肢が出てきたり、より自分らしい選択ができるようになったりすることもあるからです。
私自身、連載第1回目で取りあげたように何度か転職の経験があります。上司に退職相談したときにいろいろと提案してもらい「それなら辞めないこともできたな」、と思ったことがあります。ただ、私の場合相談する前に、すでに次の勤務先を決めてしまっていたので、いただいたありがたい提案を受けることはできず、少し後悔したことを覚えています。

ぜひ皆さんにはちょっと立ち止まって整理をし、可能性を広げてもらえたらと思います。
次に、具体的な働き方の選択肢とそれぞれのメリットややるべきことを取り上げていきます。

第16回出生動向基本調査(国立社会保障・人口問題研究所)

結婚後の働き方1 今の職場で働き続ける!

今の職場で働き続けるメリット

家族が増える分、ちょっとした用事で勤務時間の調整が必要なことも出てくるでしょう。そんなとき、同じ職場であれば、休みなど融通を利かせてもらいやすいこともありますよね。相談次第で、少し遅れて出勤したり早退させてもらえたりなんて配慮をしてもらえるかもしれません。

今の職場で「形を変えて」働き続ける手も

職場は変えずに雇用形態を変えることも選択肢の一つです。正社員のままだとどうしても時間等がパートナーと合わない、時間に余裕が持てない、ということもありますよね。そのような場合は、今の職場のまま働き方をパート・アルバイトに変えて、週〇日勤務や午前のみ勤務等を相談してみてはいかがでしょうか。

勤務時間や働き方について配慮をしてもらえるかはもちろんその職場の状況にもよりますが、もしそれが実現したらそれはあなたが今まで一生懸命、誠実に働いてきた信頼があるからこそ。ここまで仕事を続けてきた成果の一つです。
場合によっては、仕事を退職すると必要になるハローワークや健康保険等の手続きもいらないため、結婚に向けた準備に集中できるということもメリットです。

結婚後の働き方2 転職する!

住む場所が変わるなどの理由で今の職場で働き続けるのは難しい…、けど仕事を辞めて空白期間は作りたくないな…という場合は、転職を考えてみましょう。
その場合は、「転職先を探す」よりもまず、結婚後の生活について(場合によっては結婚までの準備期間も含めて)、あなたがどうしたいか、現実的にどうなるのかを具体的に考えてみましょう。それと合わせて、新生活をスタートする場所でどのような求人があるかの情報収集を進めたり、新生活に合った職場を探してみたりすると良いでしょう。

新しいライフスタイルはこれまでとどう変わる? どんなふうに働きたい?

例えば…

  • パートナーと休日を合わせたい
  • 転職しても歯周病治療の技術は磨き続けたい
  • 仕事は今まで通りやりたいから家事は分担していきたい
  • すぐ子供が欲しいから、妊活したい

結婚後の働き方3 一度仕事は辞めて専業主婦になる!

寿退社ということで退職の報告なども受け入れてもらいやすいというメリットもあります。
この場合、この機会にぜひ「歯科衛生士の資格取得後にどのような経験をして、何がどのくらいのレベルでできるようになったか」を整理してみて欲しいなと思います。今の職場でどのように成長したのか、今自信を持ってできること、まだまだ勉強したいこと、これからどのようになっていきたいか、などなど。あなたの人生の一つの区切りに、歯科衛生士としてはもちろん、一人の人としても考えてみると良いのかな、と思います。
これらは、次に仕事を始めるときの自分の強み・PRポイントになり、また、自分の人生を前向きに、自律的に歩むことにもつながります。

退職という人生の一区切りに、これまでの経験を整理しておこう

例えば…
<できるようになったこと>

  • 患者さんの状態に合わせた歯周病治療を学び、担当できるようになった
  • 子供の虫歯予防を学び、担当できるようになった
  • 歯科医師が治療しやすい診療補助ができるようになった
  • インプラント治療のアシスタントができるようになった

<これからできるようになりたいこと>

  • 歯周病学会認定歯科衛生士を取得したい
  • 患者さんと長く付き合い、口腔内の変化を診ていきたい
  • 子供の成長による口腔内の変化を診られる歯科衛生士になりたい
  • 今までと違う分野の経験もしてみたい

↓これまでの経験を整理すると…

  • 自分はこれだけのことが身についた!という自信になる
  • 仕事を再開する際、職務経歴書や自己PRの作成がスムーズになる!

考えを書き出したり言葉にしたりしてパートナーとすり合わせをしよう

結婚というのは自分一人ではなく相手がいるもの。これからの自分たちの生活をどのようにしたいのか、お互いの希望や考えをできるだけ具体的に話し合っておくことがとても大切です。なんとなく協力していけると思っていても、一緒に生活してみると「考えていることが違った」ということも少なくありません。「協力する」とは具体的にどのようなことを思い描いているかについて、まずは自分の気持ちを整理して、それを伝え合える関係を築いていきましょう。
どんな夫婦関係を目指したいか、どんな家庭が理想か、仕事を続けていきたいのか、家計について、お互いに遠慮なく伝え合える素敵な関係になれることを願っています。

さて次回は、【ライフキャリア編】です。歯科衛生士としてどのようなキャリアを築いていきたいか一緒に考えてみましょう。


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