歯科衛生士に昇給のチャンスはある?

歯科衛生士にとって、昇給のチャンスがあるのかは気になるところ。
全国の求人情報を掲載しているクオキャリアのデータも交えて、実態と対策をお伝えします。

データで見る歯科衛生士の昇給事情

クオキャリアと日本歯科衛生士会の情報をもとに、昇給のリアルを探ります。

実はほとんどの医院が昇給アリ

クオキャリアに掲載されている求人情報の99%に「昇給の可能性あり」と記載されています。
下の図は東京都と大阪府のデータですが、全国的にもこの傾向は変わりません。昇給の機会は「年に1回」が90%以上。なお、この回数は多くの一般企業でも同じです。

クオキャリア調べ/2023年2月時点情報

しかし歯科衛生士の勤務実態調査報告書(令和2年3月 公益社団法人 日本歯科衛生士会)によると、調査に回答した8,932人の会員のうち、72.5%の方がベースアップや定期昇給などの待遇改善を求めていることが明らかになっています。

待遇の改善は「現在の職場で改善してほしいこと」という項目のなかで、最も多く回答が集まった意見です。

実際、歯科衛生士としての年収の満足度に着目してみると、「満足」または「ある程度満足」と回答した方の割合は39.7%と、4割程度しかいないことが判明しています。

つまり、昇給の制度はあるけれど、実際には昇給がなかったり満足のいくレベルに達していないといったことが読み取れます。

なぜ、このようなギャップが起きているのでしょうか?

なぜ、なかなか昇給しないの?

まず医院の経営状態が悪い場合、昇給は難しいでしょう。
給与の原資は医院の売上なので、売上が低ければ従業員に十分還元することもできません。歯科衛生士本人がどれだけがんばっても、経営状態が良くなければ昇給は難しいのが現実です。
また遅刻を繰り返すなど勤務態度が悪い場合も、当然昇給は難しいでしょう。
しかし決してそうでなくても、なかなか昇給しない理由が主に3つあります。

理由①昇給は医院にとってはリスクがある

日本の法律では、一度上げた賃金はなかなか下げられません。
もし昇給させた歯科衛生士の勤務態度が悪くなったとしても、高い賃金を払い続ける必要があります。
ある意味、給与は医院側から見れば解約が困難なサブスクのようなもの。
昇給には慎重にならざるを得ないのです。

理由②評価基準が明確でない

理由①で伝えたように昇給は医院にとってはリスクという一面もありますが、貢献してくれる歯科衛生士には高い給与を支払って長く勤めてほしいと考えている医院もたくさんあります。

しかし、そこに立ちはだかるのが評価基準の難しさです。
スケーリングが上達した、患者さんが予防に熱心になったなどは、確かに医院に貢献しているものの、何をどこまで達成したら昇給の基準に達するのかを明確にするのは困難です。

仮に院長に昇給の交渉をするとしても、自分がどれだけスキルアップをしたかをプレゼンするのは難しいのではないでしょうか。

とはいえ、評価基準のあいまいさは歯科医院だけの課題ではありません。
一般企業も頭を悩ませており、書店に行けば人事評価に関するビジネス書がズラッと並んでいます。

あなたの医院の院長も、もしかしたら歯科衛生士をどう評価していいのかわからず悩んでいるのかもしれません。

理由③昇給は法的義務ではない

求人広告の「昇給あり」とはあくまで「定期的に昇給の機会が与えられる」ということであり、「必ず昇給が約束される」わけではありません。

さらに昇給の機会があったとしても、金額が決まっている医院は東京都で19.1%、大阪府で34.3%。「医院業績・本人実績/能力に応じて」決まるケースが6~7割と過半数を占めています。

クオキャリア調べ

昇給は「医院業績・本人実績/能力に応じて」なのに、理由②で伝えたように評価基準は明確ではない。
ここの不透明さが、昇給への不満につながっているのかもしれません。

給与アップするにはどうすればいい?

簡単に昇給しないのが実態ではありますが、実力や貢献度に見合った待遇はほしいものです。どうすれば給与アップを実現できるのでしょうか。

認定歯科衛生士になる

認定歯科衛生士の資格を取得することで、自分のスキルを客観的に証明できます。
専門性を高めることで院長に一目置かれ、昇給のチャンスが巡ってくるかもしれません。
また医院によっては、資格手当が支給されます。
基本給が昇給しなくても受け取れる額は増えるので、結果的に給料アップにつながります。

取得に時間やお金がかかるかもしれませんが、昇給の機会につながったり手当が出たりするなら、長期的に見てプラスです。
また、将来的に転職を視野に入れたときにも資格は武器になります。

★代表的な認定資格の例
・日本歯周病学会認定歯科衛生士
・日本口腔インプラント学会 インプラント専門歯科衛生士
・日本歯科衛生士会 認定歯科衛生士

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転職する

もっと高い給与を希望するなら、今の医院で昇給を待つより他の医院に転職しようと考える人も多いのではないでしょうか。

昇給しないのが不満で転職をするなら、人事評価制度が整っている医院かどうかを確認することが大切です。

月給・年収両方を見るのが大切

昇給のある医院もあるのに、自分の給与はずっと変わらないと不満を覚えるかもしれません。
ただ、基本給や月給だけでなく年収も含めて総合的に考えることが大切です。

たとえば以下をご覧ください。

ケースBは基本給や月給の額はケースAよりも高いものの、賞与(ボーナス)がないため、年収ベースで見ると、基本給が少ないケースAよりも低くなっています。
ケースAのように基本給が低くても、賞与の額を含めた年収ベースで見ると、実は思っていたより悪くないかもしれません。

「こんな安月給でやってられない!」と思ったときは、昨年度の源泉徴収票で年収を確認してみましょう。

とはいえ、減額される可能性が少ない「基本給」に比べて、賞与は医院の業績や個人の評価によって金額が上下することも少なくありません。
そういった性質の違いも考えて、「基本給や月給」「年収」の両方を見るのが大切です。

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やりがいと待遇のベストバランスを見つけよう

「給与が高いから入職したけど、仕事内容や人間関係が合わなくて退職した」
こんな体験談をよく聞きます。
しかし仕事内容や人間関係が良くても、給与があまりに希望とかけ離れていれば、長く勤め続けるのは難しいのではないでしょうか。

希望を100%満たす医院を探すのは簡単ではありませんし、そもそも存在しないかもしれません。

給与が不満で転職を考えるのであれば、希望年収を満たす医院をまずは絞り込み、そこから仕事内容や雰囲気が自分に合う医院を探してはいかがでしょうか。

もしかしたら自分のいる医院がベストだと判明するかもしれません。
まずはどんな医院があるのか、調べることから始めてみましょう。

 

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