診療分野を知ろう!〈審美歯科編〉|歯科衛生士知っとこ!職場の見極め塾#19

こんにちは!ライターのヤナギです。 これまでに10年以上、クオキャリアでたくさんの歯科医院を訪問したり、記事を執筆したりしてきました。
その経験から、歯科衛生士の皆さんに「自分に合った職場を選ぶためのヒント」をご紹介します。

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「診療科目」「診療分野」をチェックしよう!

この連載のLesson 6では、歯科医院の「診療科目」や「診療分野」について解説をしました。
診療分野について考えてみよう!〈小児歯科編〉 |歯科衛生士知っとこ!職場の見極め塾#6
Lesson 6では、

  • 歯科医院それぞれ力を入れている診療内容が違い、それによって、学べることや身につけられるスキルが大きく変わってくること
  • そのため、就職活動の際には「診療科目」「診療分野」をチェックするのが大切だということ

をお伝えしました。

今回は「審美歯科」にスポットを当て、審美歯科での歯科衛生士の仕事の特徴や、どんな人に向いているのかを詳しく見ていきたいと思います。

そもそも、審美歯科って?

Lesson6で解説した通り、歯科医院が標榜できる「診療科目」は、「歯科」「小児歯科」「歯科矯正科(矯正歯科)」「歯科口腔外科」の4つ。
「審美歯科」はこの中には入っておらず、「歯科」および「歯科矯正科」の中の、一つの診療分野という扱いです。

いろんな歯科医院のWEBサイトを見てみると、多くの医院で、さまざまな治療メニューの一つとして、「審美歯科」が用意されています。
一方で、「審美歯科専門」として、審美歯科治療のみを専門的に提供している歯科医院もあります。

審美歯科の特徴は、主に「見た目」を美しくする治療だということです。
具体的には、ホワイトニングや自費のクリーニング、セラミック治療、矯正治療の一部などが含まれます。

患者さんが「(機能的に)悪いところの治療」という「マイナスをゼロにする」目的だけでなく、「さらに美しくなりたい」という「ゼロをプラスにする」目的で来院されることが、審美歯科に特有と言えるでしょう。

審美歯科における歯科衛生士の役割

審美歯科における歯科衛生士の役割は、主に次の3つです。

カウンセリング

審美歯科に限らず、初診時や治療中のカウンセリングは、歯科衛生士に任せられていることも多いです。

特に審美歯科では、患者さんが

「自分のお口のどのようなことで悩んでいるのか」
「最終的にどんなお口を目指しているか」

などをしっかりヒアリングした上で、それらの解決に向けて、歯科医師や歯科技工士と連携しながら治療を進めていきます。
「悪いところを治す」治療以上に、患者さんとやスタッフ同士のコミュニケーションが重要になるでしょう。

クリーニングやホワイトニングの施術

実際に歯科衛生士が処置をできる審美歯科の治療としては、「クリーニング」と「ホワイトニング」があります。
クリーニングは通常の歯科診療でも行われますが、特に審美目的の場合は、PMTCやデンタルエステなど自費のクリーニングメニューが用意されていることがほとんどです。

また、ホワイトニングも、歯科衛生士が中心となって活躍できる分野です。
ホワイトニングには、歯科医院で行う「オフィスホワイトニング」と、自宅で行う「ホームホワイトニング」があります。
ホームホワイトニング用のマウスピースの作成も、歯科衛生士が行うことが多いようです。

最近では、「ホワイトニングに関われること」を条件に職場を選ぶ歯科衛生士もいるなど、歯科衛生士の役割としての認識が高まりつつある印象です。

診療補助

セラミック治療や矯正治療などの診療補助も、審美歯科において歯科衛生士が行う仕事の一つです。
特に、セラミック治療におけるTEK作成は、仕上がりを左右する重要な業務なので、高いスキルやコミュニケーション力が必要になります。

審美歯科のやりがい

歯科衛生士にとって、審美歯科にはどのようなやりがいがあるでしょうか。

患者さんの悩みを解決できる

審美歯科を訪れる患者さんは、自分のお口の見た目に、何らかの悩みやコンプレックスを抱えていることがほとんどです。
治療によってそれが解決されるにつれ気持ちが前向きに変化するケースも多く、そんな姿を見られるのもこの分野の魅力です。

実際に、審美歯科に関わっている先輩たちは、

  • 患者さんの表情が明るくなった、笑顔が増えた
  • 患者さんの方から話しかけてくれるようになった
  • 患者さんの服装がおしゃれになった

など、さまざまな「うれしい変化」を経験しているようです。
中には、「自分に自信が持てたことで、恋人にプロポーズできた」という患者さんもいるそう!

審美歯科は、単に「見た目」を変えるだけでなく、患者さんの「人生」まで変えることができる分野だと言っても良いかもしれません。

歯を大切にしてもらえる

審美歯科によって口元が美しくなると、「自分の歯を大切にしたい」という気持ちも高まってくるもの。
例えば、ホワイトニングで歯が白くなったことで、以降セルフケアの習慣が身について虫歯になりにくくなった、というケースも多いそう。
審美歯科は、「患者さん自身の歯をできるだけ残す」ことにもつながっていると言えるでしょう。

患者さんとじっくり向き合える

審美歯科における治療メニューの多くは、自費診療です。
そのため、処置時間や施術内容の制約が少なく、しっかりと時間をかけて患者さんと向き合えます。
「数をこなすのではなく、患者さん一人ひとりとじっくりコミュニケーションを取りたい」という歯科衛生士にとっても、大きなやりがいを感じられる分野です。

審美歯科の難しさ

ここまで見てきた審美歯科の特徴は、裏を返せば「難しさ」でもあります。
審美歯科の難しさをまとめると、主に次の2つになるでしょう。

患者さんごとにゴールが違う

歯が痛くて来院した場合のゴールは、「痛みの原因をなくす」ことです。
このように、「悪いところを治す」治療のゴールは、比較的わかりやすいことが多いです。
一方で「見た目を良くする」ことが目的の審美歯科の場合、そのゴールは患者さんによって大きく異なります。

例えば、「歯を白くしたい」という希望を持った患者さんの場合、「できる限り真っ白にしたい」のか、「自然な白さにしたい」のかをしっかりとヒアリングし、その希望を実現しなければ、満足してもらえません。
患者さん一人ひとりの気持ちにしっかり寄り添い、柔軟に対応する力が必要とされるのです。

高いスキルや接遇力が必要

先ほども触れたように、審美歯科で行われる治療は、多くが自費診療です。
そのため、精密な施術に加え、不快感を極限まで抑えるなど、高いスキルが求められます。
また、言葉遣いや立ち居振る舞いにも、高いレベルを期待されることが多いでしょう。
逆に言えば、審美歯科で働くことで、こうしたスキルや接遇力を身につけられるとも言えます。

どんな人が審美歯科に向いている?

人の役に立ちたい人

繰り返しになりますが、審美歯科では、患者さんのコンプレックスを解消し、人生を「プラス」に変えることができます。
「人の役に立ちたい」「誰かを笑顔にしたい」という気持ちを強く持っている歯科衛生士に、審美歯科は向いているでしょう。

美に関心が高い人

自分自身が「美しさ」に関心があり、常に「美」にアンテナを張っている人も、審美歯科に向いています。
患者さんの気持ちに深く共感できる、自分から提案ができるといった点でも、力を発揮できるでしょう。
また、審美歯科の中には「スタッフの治療費の割引」などの制度を設けている場合もあり、働きながら自分の美を磨けることもメリットです。

自分に自信を持ちたい人

「これまで、自分の見た目をあまり気にしてこなかった」「言葉遣いや立ち居振る舞いに自信がない」という人の中には、審美歯科に興味があっても、どこか気後れしてしまう人がいるかもしれません。

でも、「就職」というのは、自分を変える大きなチャンス。
たとえ、今の自分が、その環境が求めるものを満たしていなかったとしても、働く中で身につけていけば良いのです。
仕事を通じて自分に自信をつけたい人、「理想の自分」を目指して成長したい人にも、審美歯科の環境はオススメ。
実際に先輩の中には、このような動機で審美歯科に飛び込んだ人もいます。

まとめ:大切なのは「自分の想い」

審美歯科は「見た目を良くする」ことがゴールだと思われがちです。
でも実際に目指しているのは、その先の「患者さんの人生をより良くする」ことです。
ちょっとレベルが高いように感じてしまいがちですが、実は、「患者さんを笑顔にしたい」という想いを、わかりやすい形で実現できる分野なのです。

大切なのは、「今の自分にできるかどうか」よりも、「自分の想いを叶えられるかどうか」。
審美歯科に少しでも関心のある人は、ぜひ候補に入れて、見学に訪れてみてはいかがでしょうか。


ヤナギ

ライター、インタビュアー

2010年よりクオキャリアのさまざまな媒体で歯科医師・歯科衛生士の取材や、求人原稿・インタビュー記事の執筆など、のべ6,000件以上を担当。歯科業界の採用事情に精通している。

 

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