
症候群の語呂合わせ&覚え方
歯科国試を乗り切る! 語呂ゴロ暗記術 #7 会員限定歯学部生の悩み、それは「覚えることが多すぎる」こと。
教科書を読んでもなかなか知識が定着しない…そもそも覚え方がわからない…
そんな皆さんを救ってくれるのが語呂合わせです!
本連載では、歯科国試塾ブループリントの宇梶淳平先生が各科目の語呂合わせを伝授。ちょっと笑える語呂合わせと共に暗記すれば、定期テストも歯科医師国家試験も乗り切れるはずです!
今回は、症候群の語呂合わせと覚え方です。

歯科国試塾ブループリント
宇梶淳平先生
東京外国語大学外国語学部卒後、一年間のサラリーマン生活を経て東京歯科大学へ編入。学生時代から歯科系SNSワンディー株式会社にて勤務し、1D歯科用語集やニュース記事の編集、海外論文の翻訳、国家試験対策セミナーの運営に携わった。現在は歯科国試塾ブループリントの代表として、多くの受験生をサポートしている。
YouTube「The So-jun Ukaji’s channel」
宇梶淳平先生のInstagram
東京外国語大学外国語学部卒後、一年間のサラリーマン生活を経て東京歯科大学へ編入。学生時代から歯科系SNSワンディー株式会社にて勤務し、1D歯科用語集やニュース記事の編集、海外論文の翻訳、国家試験対策セミナーの運営に携わった。現在は歯科国試塾ブループリントの代表として、多くの受験生をサポートしている。
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症候群について
語呂合わせ記事の連載も第7回目になりました。今回は1つの科目を取り上げるのではなく、症候群というテーマで書かせていただきます。
症候群は小児歯科、口腔外科、放射線、また場合によっては歯周病や麻酔の範囲にも入ります。多くの分野で取り扱う範囲であるということは、問題として問われる可能性が非常に高い分野ではあるのです。言い換えると、勉強するのにコスパ抜群ということです。
しかし、症候群の中にどんな疾患・症状が含まれているか、しっかり覚えていない方が非常に多いなぁと感じているところではあります。得点源になるのにもったいないですよね。
そこで、症候群の中身をしっかり覚えていきましょう!
McCune-Albright症候群の特徴
McCune-Albright症候群は、GNAS遺伝子の変異により発生する疾患です。線維性異形成症と皮膚のカフェオレ斑(色素沈着症)と内分泌病変(思春期早発症)が生じます。
このことは、次の語呂合わせで覚えましょう。
すりガラスがあるマックで、カフェオレ飲んで感じた、早い思春期

すりガラス→X線、CT上でのすりガラス様陰影→線維性異形成症(線維性骨異形成症)
マック→McCune-Albright症候群
カフェオレ→皮膚のカフェオレ斑
早い思春期→思春期早発症
詳しく解説していきます。
すりガラス様陰影は、なぜか歯学部界隈では有名ですよね。すりガラス様陰影は病変に軟組織と硬組織がミックスされていて、病変内部が均一ではないことから見られる画像所見です。

上のパノラマX線画像では下顎の正中部に、すりガラス様の陰影が見られます。
たまに、「すりガラス」を知らない方がいますが、要はくもりガラスのことです。昭和の時代の家にはよくありますね。
そして、すりガラス様の所見はパノラマだけではなく、CT画像上でも近いものが見られます。

上のCT画像の場合は、上顎の右側に皮質骨を膨隆させている内部不均一な病変が見られます。このように皮質骨を破壊はしないけれど膨隆させる点と、内部がくもりガラスっぽくなっているのが特徴です。よく覚えておきましょう。
カフェオレ斑は皮膚上では下記のように現れます。

カフェオレ斑が現れる疾患には、
●Peutz-Jeghers症候群
●Von Recklinghausen症候群
●Addsion症候群
●McCune-Albright症候群
の4つがあります。これもよく覚えておきましょう。
思春期早発症は小学生で二次性徴が見られる状態です。ちなみに、筆者は確か小学生4年生で声変わりしました。これはある意味、思春期早発なのかもしれませんね。
Gardner症候群の特徴
Gardner症候群は大腸ポリポーシス、骨腫、軟部腫瘍、埋伏歯の4徴候を覚えれば大丈夫です。
語呂合わせはこちらです。
「大丈夫、骨なんて埋めれば!」
大丈夫→大腸ポリポージス
骨→骨腫
なん→軟部腫瘍
埋め→埋伏歯
特に大腸ポリポーシス(消化管ポリポーシス)は、Gardner症候群とPeutz-Jeghers症候群の両方に見られるので、この2つを混同する受験生が非常に多いです。
Gardner症候群について解説していきましょう。


上記のパノラマX線画像とCT画像は、Gardner症候群の患者に発生した骨腫です。右下顎角部に腫瘤性病変が見られます。
このように私たちの領域である顎骨にも発生することがあります。
また上記の画像をよく見ると、下顎骨の左側には埋伏歯が見られます。Gardner症候群の特徴がここにも見られます。
軟部腫瘍は類皮嚢胞や脂肪腫が報告されています。(注:類皮嚢胞は正確には腫瘍ではなく嚢胞ですが、Gardner症候群を解説する文献中に軟部腫瘍の一例として書いていたのでここでは書かせていただきます。)
大腸ポリポーシスはGardner症候群を一番特徴づける所見で、腸内に多数のポリープを認め、癌化傾向が強いのが特徴です。
また、APC遺伝子の変異でGardner症候群が発症することも覚えておきましょう。
Sturge-Weber症候群の特徴
Sturge-Weber症候群は、顔面に先天性の血管腫が発生し、それに付随する症状が起きる疾患です。具体的な症状は下記の3つです。
●顔面の血管腫
●てんかん
●緑内障
Sturge-Weber症候群の血管腫は下記の写真のように血管に現れます。

このように顔面の片側に現れることが多いです(まれに両側性も報告されています)。
てんかんと緑内障は
血管腫が脳に入り込んでいる場合→てんかんが起きる
血管腫が血液を鬱滞させ眼圧を上昇させる→緑内障(視野の欠損)が起きる
という機序で発生します。
さて、眼圧という言葉が出てきました。
筆者は最近コンタクトレンズがずれて炎症を起こして、眼科に行きましたが、眼圧の検査を行いました。目に風を吹きかけられる検査ですね。
眼圧とは、眼球内部の液体である房水が一定の圧力を保ちながら循環することで生じる圧力を指します。

風を吹きかける検査は、風をかけたことによる目の凹み具合を見て検査しているらしいです(この前、眼科で教えてもらいました)。
Sturge-Weber症候群では血液が顔面で鬱滞することにより、血液由来の房水も鬱滞し、眼圧が高くなります。眼圧が高くなることにより視神経が傷害され視野の欠損、失明が起きるとされています。
ここまでは歯科医師国家試験には出ませんが、機序を覚えておくことで記憶の定着につながるかと思います!
今回の記事は症候群でしたが、いかがでしたでしょうか? 次回の記事もお楽しみに!
イラスト/室木おすし 図/宮本寛之