
小児歯科の語呂合わせ&覚え方
歯科国試を乗り切る! 語呂ゴロ暗記術 #9 会員限定歯学部生の悩み、それは「覚えることが多すぎる」こと。
教科書を読んでもなかなか知識が定着しない…そもそも覚え方がわからない…
そんな皆さんを救ってくれるのが語呂合わせです!
本連載では、歯科国試塾ブループリントの宇梶淳平先生が各科目の語呂合わせを伝授。ちょっと笑える語呂合わせと共に暗記すれば、定期テストも歯科医師国家試験も乗り切れるはずです!
今回は、小児歯科の語呂合わせと覚え方です。

歯科国試塾ブループリント
宇梶淳平先生
東京外国語大学外国語学部卒後、一年間のサラリーマン生活を経て東京歯科大学へ編入。学生時代から歯科系SNSワンディー株式会社にて勤務し、1D歯科用語集やニュース記事の編集、海外論文の翻訳、国家試験対策セミナーの運営に携わった。現在は歯科国試塾ブループリントの代表として、多くの受験生をサポートしている。
YouTube「The So-jun Ukaji’s channel」
宇梶淳平先生のInstagram
東京外国語大学外国語学部卒後、一年間のサラリーマン生活を経て東京歯科大学へ編入。学生時代から歯科系SNSワンディー株式会社にて勤務し、1D歯科用語集やニュース記事の編集、海外論文の翻訳、国家試験対策セミナーの運営に携わった。現在は歯科国試塾ブループリントの代表として、多くの受験生をサポートしている。
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小児歯科について
小児歯科は、歯科医師国家試験の科目の中では問題数がすごく多いというわけではないですが、内容が多岐にわたる点が特徴です。小児の保存的治療、補綴的治療、外科治療、そして小児の成長発達といった基礎科目に近いところまでが範囲なので当然ですね。
今回はそんな小児歯科の語呂合わせと覚え方を紹介したいと思います。
保隙装置ディスタルシューの適応
保隙装置のひとつ、ディスタルシューは使用される症例が非常に限定されており、以下の3条件が揃わないと使用できません。
●6が埋伏している(未萌出である)
●Eが抜歯適応でまだ抜歯していない
●Dが支台歯として使用可能
この3条件の語呂合わせを紹介します。
6枚目をいばらきのデンティストに使う

6枚→6が埋伏している(未萌出である)
いば→E抜歯→Eが抜歯適応でまだ抜歯していない
デンティストに使う→D使う→Dが支台歯として使用可能
Eの抜歯前に印象採得を行い、模型上のEを削合してディスタルシューを作成します。Eを抜歯したあとの抜歯窩にディスタルシューのシュー部が入ります。
ディスタルシューの装着によって、6の萌出経路を近心に寄らないようにしつつ、Eが抜歯されたあとの5が萌出するスペースを保つことができます。
実際の症例で見てみましょう。とある論文[1]から写真を引用します。
両側の下Eに大きなう蝕が見られます。特に、右下Eはほぼ髄床底まで進行しているう蝕が見られます。右下Eは抜歯の適応といえるでしょう。


右下Eの抜歯前に印象採得を行い、模型を作成します。模型上の右下Eを削合して、ディスタルシューを作成します。右下Eの抜歯のあと、ディスタルシューを装着させます。
ディスタルシュー装着後の口腔内写真とデンタルX線写真がこちらです。
右下6の萌出経路を規定しつつ、右下5の萌出スペースを保持していることがわかります。

![写真引用元:[1]DP, S. K., BHATT, R., BHATT, K., & PANDYA, P. (2015). Distal shoe space maintainer: A guide for the permanent first molar. Indo-European Journal of Dental Therapy and Research, 3(2), 284-286.](https://www.webqua.jp/brush/wp-content/uploads/2025/03/1efad1b5aa917a846fa5b3fc11367269.png)
ディスタルシューの用途は以上のような症例のみだと考えてください。
つまり、「6が萌出している。Eをすでに抜歯している。4の萌出スペースを保隙する」といったような、上の3条件全てに当てはまらない症例には使えないということです。
小児薬用量の代表的な換算式
小児の薬用量の換算式は、まれに歯科医師国家試験や各大学の卒業試験に出題されています。
<小児薬用量の代表的な換算式>
体重 | Hamburgerの式 IvadyとDirnerの式 Clarkの式 |
---|---|
年齢 | Youngの式 Dilingの式 Augsbergerの式(Ⅰ、Ⅱ) |
体表面積 | Crawfordの式 |
しかしながら、完全な単純暗記なので、覚えづらいというのが正直なところでしょう。
少しでも覚えやすくするために、私が使っていた語呂合わせを紹介します。
ハンバーガーを食べて、体重重い→Hamburgerの式は体重
ヤングは「若い」、だから年齢→Youngの式は年齢
クロールで表面を進む→Crawford式は体表面積
小児薬用量の代表的な換算式は体重から換算する方法、年齢から換算する方法、体表面積から換算する方法の3つのグルーブがあります。
それぞれHamburgerの式、Youngの式、Crawfordの式の語呂合わせを記載しました。ただ、歯科医師国家試験に出る可能性が高いと考えられるのはClawfordの式とYoungの式です。
これには一応私なりの根拠があります。
小児歯科学の教科書は、医歯薬出版と永末書店の教科書が代表的でしょう。さまざまな換算式の中で、医歯薬出版の教科書、永末書店の教科書の両方に記載があるのはClawfordの式とYoungの式だからです。
なので、まずはこの2つから覚えるのがよいでしょう。
ちなみに実際の換算式の公式は覚えなくてもいいかなと思います。チラ見くらいにして、他の大事な事項をきちんと覚えましょう。
介在結節の好発歯
普通に勉強していると、なんとなく見逃されがちな歯の解剖の分野から、介在結節の覚え方を紹介します。
介在結節は、上顎第一小臼歯と上顎第一大臼歯近心辺縁隆線上の小結節のことを指します。
つまり、上4と上6にみられるということですね。

介在結節の「介」ってなんとなく、上向きの矢印(↑)に見えないでしょうか? つまり、「介」の字から上顎にあることを示していると考えてください。
では、介在結節の「介」は何画の漢字でしょうか。そうです、4画の漢字ですね。
そして介在結節の「在」は何画の漢字でしょうか。そうです、6画の漢字ですね。
これで、上の4と6にあるということを忘れないと思います。ぜひ活用してみてください。
いかがでしたでしょうか? 次回の記事もお楽しみに!
イラスト/室木おすし 図/宮本寛之