
埼玉のパワースポット歯医者、大谷ルームを参拝してきました。
辛酸なめ子の調べたら奥深~い“歯科ラビリンス” #4子供の頃にした恐怖体験から歯医者さんがトラウマになり、実は歯科医院があまり得意ではないという辛酸なめ子さん。そんな辛酸さんも、口腔の健康と寿命が関係していることを知り、月に1回は予防を兼ねて歯科医院に通っているという。この連載は、そんな辛酸さんが最近の歯科事情や、歯科にまつわるエトセトラを取材し、歯科の恐怖と向き合い、克服していく壮大な物語である。歯科医師になる皆さんも、ぜひこの連載を読み、歯医者さんが怖い患者さんの気持ちと寄り添いながら、奥深い歯科ラビリンスを体感してください。
大谷選手のポジティブエネルギーを肌で感じてきました
毎日、日本人を鼓舞してくれる大谷翔平の活躍のニュース。米大リーグ・エンゼルスの野球選手として活躍しながらも、礼儀正しさや、愛される性格、完成されたルックスやスタイルなど、全てにおいて異次元のスペックの持ち主です。
いずれどこかに大谷翔平ミュージアムでもできるだろうと思っていたら……既にもう存在していました。先日、ニュース番組を観ていたら、埼玉県越谷市の「かみむら歯科・矯正歯科クリニック」に、大谷翔平にまつわる品々が展示されていることを知りました。埼玉出身としてぜひ見学したいと思い、取材に伺わせていただきました。ちなみに「大谷コレクション」ルームは、基本、このクリニックの患者さんだけが入れるスペースです。
まず、クリニックを訪れて驚いたのは、40台の駐車場があるほど広い敷地と建物。お子さんが遊べるキッズスペースがあったり、大きな木のモニュメントや、インタラクティブで遊べるタッチパネルがあったりと、楽しい仕掛けが盛りだくさんです。歯医者が怖いお子さんも、ここに通うのが楽しみになりそうです。子どもの頃、埼玉の歯医者で怖い先生に怒られながら痛い治療をされてトラウマになってしまった私は、こんな歯医者さんが近くにあれば……と羨ましくなりました。そして歯医者が苦手な大人も、大谷翔平ルームに行けると思うとかなりのモチベーションになりそうです。
「患者様にとって、歯科医院って怖くてあまり行きたくない場所だと思うんですけど、少しでも楽しい気持ちで通っていただけるきっかけになれば……。とくにお子様には遊びに来るような感覚で来てもらいたいです」と、院長の上村優介氏。まだお若いですが、この大谷コレクションは、主に理事長でお父様の上村英之氏が収集しているそうです。もちろん、上村優介氏も大谷翔平のファンだとか。収集開始は2021年からで、このスペースが完成したのは去年の12月と、わりと新しいです。壁には大谷翔平の年表まで。かなり情報量が多い空間です。
「日々、中で治療しているのでここにいる患者さんを見ることはないのですが、テレビの取材を受けて下さった方が喜んでいるのを見て嬉しかったです」と、上村優介氏。
壁のガラスの棚には、オークションサイトや現地の球場などで集めたコレクションが並んでいて壮観です。下の段のラックには、大谷翔平が表紙の雑誌に混じって、歯科専門誌も並んでいてシュールです。「徹底解剖! 初期むし歯」「知ってる? 仮歯のだいじな役割。」など、そちらもかなり気になります。
コレクションの中で、思い出の品を伺うと、
「一番最初に買ったロージンバックですね」とのこと。ちなみに「15万円しなかった」そうですが、それでも十分お高いです。粉やらキャップやらグローブやら一塁ベースやら、あらゆるものが出品されているのは、チャリティー活動の一環でもあるようです。テレビでたまに見る、ホームランを打ったときなどにかぶる兜も展示されていました。そして、大量にあるボブルヘッド人形(首振り人形)は、試合が行なわれる球場で無料配布されることもあるとか。たくさん並んでいるので、夜に見ると、ひとりでに首を振ったりしそうで怖いかもしれません。

この中で一番高いものを聞いてみると、
「22年のオールスターゲームで使用したヘルメットですね。400万円くらいです」とのこと。そんな貴重な品を独占せずに公開してくださってありがたいです。
理事長の上村英之氏は、大谷翔平のどんなところを評価しているのでしょうか。
「活躍している姿もあると思うんですけど、やっぱり人間性が素晴らしいと言ってて。謙虚さ、ゴミ拾いする姿、その地に馴染もうとする努力など。高校時代に書いたマンダラチャート(目標設定の図)もすごいですよね」
顔立ちもすごく均整が取れてバランスが良いですが、歯並びはどうでしょう?
「そうですね。父も大谷翔平は歯並びが良いと言ってました。スポーツ選手は噛み合わせが大事だと思います。例えば投げる瞬間など、グッと噛んだときに力が出る。大谷翔平は見た感じ噛み合わせが良いです。それも成績を残してる一つの要因なのかなって思います」
写真を見る限りでは素人目にも歯並びが良いです。いっぽう、現代人は、固いものを噛まなくなったので、顎が小さくなり、歯並びがズレてしまうケースも多いとか。大谷翔平の好きな食べ物は焼き肉、寿司、チョコなどだそうであまり固くないですが、生まれ持った歯並びの良さなのでしょうか。やはり神に選ばれた存在……。
上村優介氏に、大谷翔平に何か影響を受けた面があるか伺うと、
「目標に向けて、全ての物事を徹底してやるところです。それを365日されてるんでモチベーションが本当にすごいなって。マンダラチャートもそうですが、目標に向かって計画を立てて一個一個やっていく姿は本当に尊敬できます。あと、野球が好きで少年のように野球やってる姿が良いですよね」

上村優介氏も、大谷翔平が野球を楽しんでいるように、歯医者の仕事に充実感や達成感を感じられているそうです。
「やりがいは、すごい感じますね。患者様からありがとうと言っていただいたり、入れ歯を作って喜んでいただいたり。スタッフもすごくモチベーションが高くて、チームワークも良いです」
もともとの上村優介氏の人徳もありますが、大谷翔平の写真やアイテムが放つポジティブなエネルギーが、もしかしたらクリニックにも良い影響を及ぼしているのかもしれません。
福の神レベルで空間を浄化したり、商売繁盛のご利益がある大谷翔平を、これからも崇めていきたいです。


かみむら歯科矯正歯科クリニック
上村 優介 院長
歯科医師。明海大学歯学部を卒業後、複数の開業医や大学病院での研修を経た後、かみむら歯科矯正歯科クリニックへ。先輩歯科医師の指導などを通じて研鑽を積み、2019年9月より院長に就任。「予防歯科を通じて国民の健康と幸福に寄与する」との法人理念のもと、全職員一丸となって日々診療に励む。診療台23台、スタッフ60人以上のクリニックは1日の来院数が300人を超えることも。外来だけでなく、訪問診療や勉強会にも力を入れている。
歯科医師。明海大学歯学部を卒業後、複数の開業医や大学病院での研修を経た後、かみむら歯科矯正歯科クリニックへ。先輩歯科医師の指導などを通じて研鑽を積み、2019年9月より院長に就任。「予防歯科を通じて国民の健康と幸福に寄与する」との法人理念のもと、全職員一丸となって日々診療に励む。診療台23台、スタッフ60人以上のクリニックは1日の来院数が300人を超えることも。外来だけでなく、訪問診療や勉強会にも力を入れている。

辛酸なめ子
漫画家・コラムニスト。1974年東京都生まれ、埼玉県育ち。女子学院中学校、高等学校在学中から、執筆・創作活動をスタート。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。セレブ、皇室、精神世界など関心の幅は広く、それぞれ独特の切り口で取材し執筆。著書に『女子校礼賛』『無心セラピー』『電車のおじさん』『新・人間関係のルール』『辛酸なめ子の独断!流行大全』『辛酸なめ子、スピ旅に出る』など多数。
漫画家・コラムニスト。1974年東京都生まれ、埼玉県育ち。女子学院中学校、高等学校在学中から、執筆・創作活動をスタート。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。セレブ、皇室、精神世界など関心の幅は広く、それぞれ独特の切り口で取材し執筆。著書に『女子校礼賛』『無心セラピー』『電車のおじさん』『新・人間関係のルール』『辛酸なめ子の独断!流行大全』『辛酸なめ子、スピ旅に出る』など多数。
文・イラスト/辛酸なめ子