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口腔保湿剤は群雄割拠の状況⁉ 除菌器・除菌剤、口腔保湿剤【マイナーグッズ 後編】最終回 連載コラム

口腔保湿剤は群雄割拠の状況⁉ 除菌器・除菌剤、口腔保湿剤【マイナーグッズ 後編】最終回

みんなでハマろう! オーラルケアグッズ沼 #12

歯学部生なら興味がある、歯ブラシや歯磨き粉、フロス、歯間ブラシなどのオーラルケアグッズ。

でも、種類やトレンドについてそんなに詳しく知らないのではないでしょうか。

本連載では、オーラルケアグッズ専門店「メガデント銀座店」の店長であり、オーラルケアグッズの魅力を知り尽くしている酒向淳さんに、オーラルケアグッズ沼へといざなっていただきます。

出現しては消滅を繰り返している除菌器と除菌剤

次に除菌器と除菌剤だ。歯ブラシや義歯のためのUVC除菌器と、歯ブラシ毛のための専用除菌剤のことだが、日本市場では安定したプレーヤーは存在しない。出現しては消滅を繰り返してきている。

一方世界市場では、やはり1989年に家庭用歯ブラシ除菌器を世界で初めて発売した韓国のエセンシアだろう。もちろん日本でも購入できるが、長年低迷している。おそらく商品が悪いのではなく、理由はこれまでと同じ、日本人は「オーラルケア用品の不潔を気にとめない」からだろう。また、効果についても賛否あるのも事実だ。理由は、会社公表で除菌率99.9%を謳っているものの、効果測定に使われる菌種は食中毒菌が主で、歯周病菌とかが使われていないので、なんのための除菌器なのかという議論がつきまとうからだ。

次に歯ブラシ除菌剤だ。こちらもある商品が強いということはなく、マイナー商品がたくさん存在する。クエン酸、過炭酸ナトリウム、重曹が主な成分だが、実際にはいろんな成分商品が市場に出回っている。歯科用もあり、エーザイのイータックなどはL8020乳酸菌を発見した同じ歯科医師が開発した商品だ。

さまざまに分類される口腔保湿剤

最後に口腔保湿剤だ。食品のところで少し触れたが、一部商品は食品分類で製品登録されている。理由はハミガキだと「吐き出す」という文言を使用書に表記しなくてはならず、混乱を避けるために、最初から摂取可能にしてしまうためだ。ただマイナスの部分もあって、一部効能がうたえなくなってしまう。また、そもそも口腔保湿剤という薬事分類は存在しない。だから分類もさまざまで、ハミガキ、洗口液、食品などで、中には「口腔清涼剤」の区分の商品もある。そして当然ながら医薬分類でも多岐に渡るのは、これまでと同じ、この分野あるあるだ。

さて、肝心の剤形分類はというと、効果持続時間が長い順に、ジェル、リキッド、スプレー、そしてシートの4種類が基本だ。ただ、グミ、キャンディーといったお菓子のような形状とパッケージで「お口がうるおう」ことを謳っている製品もあり、筆者にも全部は把握できないほどだ。

製造会社は凄まじい数が存在し、いつもの花王、ライオン、サンスター、小林製薬のみならず、タマガワエーザイ、雪印、明治製菓、GSK、川本産業、アサヒ、ピジョン等々群雄割拠な状況だ。そして歴史的にはT&KからGSKに製造元が変わったが、1990年代に輸入発売を開始したアメリカ製のバイオティーンが、サリベートなど「人口唾液」分野の医薬品を除いて、日本で本格的に一般販売された最初の口腔保湿剤ではないかと思う。当時1990年代はニッチ市場だったが、その後の高齢化社会に伴う「ドライマウス」需要高まりと、たまたま薬事分類がないことで、強い規制がなかったこともあり、業種を超えたたくさんのプレーヤーで形成された成長市場になった。ただ、事故があると急速に萎んでしまうから、企業には責任をもって製品開発をして欲しいとは思っている。

代表的な成分としては湿潤剤のグリセリン、ヒアルロン酸、ビタミンE、ポリエチレングリコール、粘結材のキシリトール、セルロースガム、調整剤のリン酸塩、刺激剤のアルコール、メントール、抗炎症剤のグリチルリチン酸、アロエベラ、シナモンエキス、防腐剤のパラベン、フェノキシエタノールだが、実際にはこれだけに収まらない。たとえば歯科用商品の中には、味の素の成分として有名な、ポリグルタミン酸が主要成分として採用されているなど、いろんなアプローチで「保湿」を目指している。ただある意味、決め手となる成分がないとも言え、最近は「MA-Tシステム」を採用した商品などが開発されてはいるが、現時点では評価は未知数だ。今後さらなる発展に期待したいところだ。

左の2つは洗口液、右はスプレータイプ
左の2つは洗口液、右はスプレータイプ

最後に

さてさて、オーラルケアグッズの世界も捨てたものでないことが伝わっただろうか? 日本市場ではオーラルケアグッズの販売チャンネルは、ドラックストアが65%で、最近はネット経由も15%と増えている。全体の売り上げ総量も、人口減少時代だが、歯の数は増えているから、2~3%ほどだが毎年増加傾向が続いていて、日本人の「お口」のお手入れの質・数は上昇傾向にある。

一方、医療機関でのグッズ販売も増加傾向と言われているものの、まだ全体の6%と言われていて、熱心に取り組んでいるとは言えない状況だ。「歯ブラシ? どれでもいいよ。磨いてくれれば」と歯科医師から言われたという話は、店舗では枚挙にいとまがない。

筆者としては、もう少し優しくしてあげてと思うと同時に、医療機関がこの分野への興味を持った際に、今回の「沼」がお役に立てばと願っている。

酒向淳

酒向淳

オーラルケアグッズ専門店「メガデント銀座店」の店長。2001年にドイツに移住・転職した際、ドイツの「メガデント」本店の「自分に合った道具でより効果的にケアを行って健康的に生きる」というコンセプトに共感。「メガデント」本店での研修を経て、2009年に銀座店を開業した。店頭にはヨーロッパ製品を中心に1000種類を超えるアイテムが並び、そのすべてを試している。
「メガデント銀座店」
〒104-0061 東京都中央区銀座1-14-10 松楠ビル1F
http://www.megadent.co.jp/index.html

オーラルケアグッズ専門店「メガデント銀座店」の店長。2001年にドイツに移住・転職した際、ドイツの「メガデント」本店の「自分に合った道具でより効果的にケアを行って健康的に生きる」というコンセプトに共感。「メガデント」本店での研修を経て、2009年に銀座店を開業した。店頭にはヨーロッパ製品を中心に1000種類を超えるアイテムが並び、そのすべてを試している。
「メガデント銀座店」
〒104-0061 東京都中央区銀座1-14-10 松楠ビル1F
http://www.megadent.co.jp/index.html

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