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歯学部生からの相談内容【抗菌薬がたくさんあって覚えられません! どうやって覚えたら良いですか? 】 国試&CBT

歯学部生からの相談内容【抗菌薬がたくさんあって覚えられません! どうやって覚えたら良いですか? 】

歯学部生の学習お助けユニット“JYP”のCBTレベル「勉強相談室」Q&A #4

歯学部生なら避けては通れないCBT。臨床実習を受ける資格を得るためにパスしなくてはいけない試験ですが、コンピューターで行われるテストということもあり、問題の予測はなかなか難しいところ…。そこで、CBTを受験するまでにマスターしておきたい学習範囲のなかから、歯学部生から募集した難問について、勉強お助けユニットJYP(ジュンヤとジュンペイ)がレクチャー! 毎月1問、じっくり教えてもらいます。

     ※ブループリントHP

【今月の相談内容】
抗菌薬について

Q.  抗菌薬がたくさんあって覚えられません! どうやって覚えたら良いですか? (大阪歯科大学4年生 Dさん)

ご質問ありがとうございます。抗菌薬は臨床においてもよく使用する薬剤で試験でも頻出ですが、たくさんの薬の名前を覚えるのは大変ですよね。最終的には抗菌薬の特徴(使用目的、代謝経路、副作用など)も理解しなければなりませんが、まずは重要な薬剤の名前とその作用機序からしっかりと覚えていきましょう


①たくさんある項目の覚え方! マジカルナンバー4を活用して覚えよう。

今回の抗菌薬の名前の記憶に限ったことではありませんが、たくさんある項目を覚える時にむやみに覚えていくのは、大変ですし一度覚えた内容も忘れてしまいやすいです。このような場合は整理して覚えていくようにしましょう。具体的に「整理して覚えていく」とは、様々な段階でグループ分けを作りグループ分けを段々と細かくして覚えていくということです。

人の暗記の性質として「マジカルナンバー4」という概念が提唱されています(N Cowan, 2001)。この概念では、3〜5個(つまり4±1)1の情報しか人は瞬時に把握し記憶できないと言われています。(ちなみに以前はマジカルナンバー7と言われていましたが、記憶の限界は思ったよりも低いようです。)

これは、3〜5個までしか覚えることができないという意味ではなく、3〜5個までのかたまり(チャンク)としてとらえることで記憶しやすくなるということです。具体的に、携帯電話の番号を例にして考えてみると、11桁の数字を○○○-○○○○-○○○○のようにハイフン(-)で3〜4個の数字のかたまり(チャンク)を3つ作っていますよね。郵便番号や数字の桁数の区切りなど、たくさんの場面でこの記憶の性質が使われています。

勉強でも同様にして、3~5個の情報のかたまりを更に3〜5個に分けてというように、最大で5個までのグループ分けを繰り返していくと覚えやすくなります。続いて今回のテーマである抗菌薬について具体的にグループ分けしてみてみましょう。

②抗菌薬の種類と3つの作用機序

抗菌薬の代表的な薬剤名とその作用機序をまとめた表です。3〜5個の区切りを繰り返して分けてあることが分かると思います。CBTのみならず国家試験を考えてもこの表の内容をしっかりと理解しておけば十分に対応できます。覚えたかどうかは自分でアウトプットできるかということでわかります。最終的にこの表を見ないでも自分で書けるようになるように覚えていきましょう。自分で表を作れるか是非トライするようにしてください。続いて、それぞれの項目について解説していきますので表と照らし合わせながら見てください。

まず抗菌薬が細菌を抑えていく作用(抗菌薬の作用機序)には、①細胞壁合成阻害②タンパク質合成阻害③核酸合成阻害の3つの種類があります。今、3つ覚えて次に進みましょう。

③細胞壁合成阻害による抗菌薬

1つ目の細胞壁合成阻害ですが、細菌の構成要素である細胞壁の材料であるペプチドグリカンの合成を阻害することで細菌の増殖を抑制します。また、細胞壁が作れない状況では、細菌の細胞壁が薄くなり細菌が内部からの圧力に耐えられずに壊れてしまうので殺菌作用も示します。細胞壁合成阻害を示すのは主に、β(ベータ)ラクタム系と呼ばれる薬で、βラクタム環という構造を共通で持っているためにこのように呼ばれています。細胞壁合成阻害の薬についてはβラクタム系がメインですので、①βラクタム系以外では、②グリコペプチド系を覚えておけば十分でしょう。グリコペプチド系の代表的な薬として、βラクタム系の薬に耐性をもつMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)感染症の治療薬として使用されるバンコマイシンを覚えてください。

さて、βラクタム系に話を戻しましょう。βラクタム系の薬は歯性感染症の第一選択薬(アレルギーや耐性菌などの問題がなければ、最も優先的に使用する薬)ですので臨床でもとても重要です。この薬はペプチドグリカンを合成する酵素であるトランスペプチターゼ(ペニシリン結合タンパク質:PBPとも言われます)に結合し、酵素の働きを阻害することで作用を示します。代表的なβラクタム系の薬として、①ペニシリン系②セフェム系③カルバペネム系の3つを覚えましょう。ここまで覚えればあと一息です。

 ペニシリン系の薬は、臨床で日常的に使用されるアモキシシリンのように「〜シリン」がつく名前がつけられています。(余裕があれば、感染性心内膜炎の予防にはアモキシシリン2gを術前1時間前に経口投与することが多いことも思い出しておきましょう。)同様に、セフェム系ではセファクロルのように「セフ〜」、カルバペネム系ではファロペネムのように「〜ペネム」と法則があって名前がつけられています。名付けの法則を覚えた上で、表の代表的な薬剤名を確認するようにしてください。

④タンパク質合成阻害による抗菌薬

2つ目にタンパク質合成阻害による抗菌薬についてです。mRNAをタンパク質に翻訳するリボソームに結合して阻害します。(リボソームって何だったっけと思った人は細胞内小器官を復習してください ) 細菌の活動に必要な、たんぱく質をつくれないようにすることで細菌の増殖を抑制します。タンパク質合成阻害の薬については少し多いですが、①テトラサイクリン系②アミドグリコシド系③クロラムフェニコール系④マクロライド系⑤リンコマイシン系の5つを覚えてください。

覚えづらい場合は、語呂合わせを使って覚えてください。「テトラポッドで網にかかったクロマグロとリンゴ」:テトラポッド(テトラサイクリン)で網(アミドグリコシド)にかかったクロ(クロラムフェニコール)マグロ(マクロライド)とリンゴ(リンコマイシン)

もしくは、細菌のリボソームのサブユニットのどの部位に作用するかでさらに細かく分けて覚えるのも良いでしょう。30sと50sのサブユニット30sに作用するのが①テトラサイクリン系と②アミドグリコシド系で、50sに作用するのが③クロラムフェニコール系、④マクロライド系、⑤リンコマイシン系です。(ちなみに30s、50sというのは遠心分離によって移動する距離を元にしたスベドベリ単位です)

テトラサイクリン系は、歯周治療において歯周ポケット内に局所投与することがあるミノサイクリンのように「〜サイクリン」と名前がつきます。(テトラサイクリン系は、歯の石灰化期に投与されることで生じる歯の着色であるテトラサイクリン歯でも有名ですね)

アミドグリコシド系とマクロライド系は単純な名付けの法則が適用できません。頑張って覚えましょう!アミドグリコシド系は、ストレプトマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシン、アルベカシンを全て覚えてください。語呂合わせも書いておきますね。「家臣のゲンタ ストレス かな?」:家臣(アルべカシン)のゲンタ(ゲンタマイシン)ストレス(ストレプトマイシン)かな(カナマイシン)。

マクロライド系は、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、ジョサマイシンを覚えましょう。こちらも覚えられない方のために、語呂合わせです。「ジョーさん スロット邁進 真っ黒だ! 」:ジョーさん(ジョサマイシン) スロット邁進(〜スロマイシン) 真っ黒(マクロライド)だ!

ここまでくれば、あとわずかです。クロラムフェニコール系のクロラムフェニコールとリンコマイシン系のクリンダマイシンを一つずつ覚えておきましょう。

⑤核酸合成阻害による抗菌薬

3つ目に、核酸合成阻害による抗菌薬です。細菌の核酸(①DNAや②RNA)の合成を阻害することで細菌の増殖を抑制します。核酸を合成の際に必要な③葉酸を阻害するものも広い意味で核酸合成阻害と考えることができるでしょう。

DNA合成阻害薬はニューキノロン系とメトロニダゾールを覚えてください。ニューキノロン系は、レボフロキサシンのように「~フロキサシン」と名前がついています。ニュー(入浴)キノロンとフロ(風呂)キサシンと思うと覚えやすいですね。メトロニダゾールについては抗原虫薬としても有名ですね。RNA合成阻害薬はリファンピシンを、葉酸の阻害にはサルファ剤であるスルファメトキサゾールを覚えておきましょう。





第5回は来月公開!

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