スタッフにも患者さんにも、偉そうにふるまうのをやめてほしい！

歯科医師にとって、歯科衛生士はじめスタッフに嫌われることはまさに「命取り」。

どんなに腕の良い歯科医師でも、スタッフへの態度や接し方次第では、院内での信頼をどんどん失い、居場所をなくしてしまいます。

そこで今回は、これまでさまざまな歯科医師を見てきた3名の現役歯科衛生士に、「一緒に働きたくない歯科医師」について語ってもらいました。

職場の良い人間関係を築くためにも、ぜひ参考にしてください！

参加してくれた歯科衛生士は…

里奈さん（仮名）

歯科衛生士4年目。今年まで新卒で入職した医院に勤めていたが、方針が合わず退職。現在は診療理念を重視した転職活動中。

歯科衛生士4年目。今年まで新卒で入職した医院に勤めていたが、方針が合わず退職。現在は診療理念を重視した転職活動中。

美咲さん（仮名）

歯科衛生士4年目。臨床実習中から現在まで、実家の歯科医院で働いている。家に帰っても仕事の気分が抜けないのが悩み。

歯科衛生士4年目。臨床実習中から現在まで、実家の歯科医院で働いている。家に帰っても仕事の気分が抜けないのが悩み。

萌さん（仮名）

歯科衛生士4年目。実習先の医院に就職したものの、院長の代替わりにより退職を決意。現在は2院を掛け持ちしている。

歯科衛生士4年目。実習先の医院に就職したものの、院長の代替わりにより退職を決意。現在は2院を掛け持ちしている。

こんな歯科医師はイヤだ！
その① キレる歯科医師

美咲

怒る前に理由を聞いてほしいよね

里奈：人前で怒る先生ってイヤだよね。以前、薬剤を4㎖入れるところを少し多めに入れちゃったら、院内に響き渡る声で「これは誰がやったんだ！」って。私だとわかってるくせに、見せしめのようにキレられた。

萌：私、印象剤を潰されたことあるよ。実習のとき、冷水のつもりで印象剤練って持って行ったら、ちょうど水を常温に入れ替えたばかりだったみたいで、すぐ固まっちゃって。それを見て先生が激怒して、カルテの上でクシャっと…。

里奈：うわー、それは傷つくかも。

美咲：こっちが悪いのは承知だけど、怒る前に理由を聞いてほしいよね。前に、他の衛生士さんがミラーを割っちゃったことがあって。お昼休み中だったから先生を呼び出さない方がいいと思って休憩後に報告したら、「なんですぐに言いに来ないの！？」って怒られててさ。

萌：かわいそう…。

美咲：その人なりに気を遣ってやったのに、そこを責められるとやる気なくなるよね。

里奈：頭ごなしに怒鳴るのはだめだよね。アンガーマネジメントって最近よく言われているけど、先生たちも学んでほしいと思う。上に立つ人こそ、感情をコントロールできるようになってほしいな。

萌：そうだね。新卒の頃、スケーリング後にチェックしてもらって、少しでも歯石が残っていたら「ふざけてんの？」って暴言吐く先生がいた。そんなに怒らなくてもいいのに。

里奈：ひどい。ちゃんと取れてるべきなのはわかるけど、1年目は未熟な部分もあるものだし、教えながらフォローするくらいの気持ちでいてほしいよね。

美咲：私も、治療のタイムキーパー中に「先生、あと5分です」って言っただけで「わかってるよ！」ってキレられたことがあるよ（笑）。理不尽な怒り方は絶対ダメ！

こんな歯科医師はイヤだ！
その② 患者さんに失礼な歯科医師

里奈

「保険でいい」と言われて不機嫌になるのがキツい！

萌：今働いている医院、ほしい器具は何でも買ってくれるしすごく気に入っているんだけど、院長がずーっと話しかけてくるのが辛い…。

美咲：えっ、治療中に？

萌：そう。治療してて、患者さんの口の中も血まみれなのに、「こないだ近所の〇〇さんがさー」って普通に話しかけてくるんだよ！ 私も無視するわけにもいかないから、「はぁ…」って適当に応えるけど。

里奈：治療中の態度ってすごく見られているし、患者さんからの評価も左右するのにね。前に働いていた職場では、患者さんが「こんな先生には任せられないです」って帰っちゃったことがあるよ。

萌：よっぽど態度が悪かったんだ。

里奈：うん。その先生はとにかく利益第一で、自費を勧めたのに「保険で良いです」って言われると急に機嫌が悪くなるの。経営者だから利益を気にするのは分かるけど、治療中の態度には出さないでほしい！ 結局その考え方についていけなくて、職場も辞めちゃった。

美咲：考え方が違うと大変だよね。うちの院長は患者さんに厳しくて、すぐ「これじゃダメですよ！」って怒るの。歯科恐怖症の方が来たときも、私が優しく説明して気持ちをほぐしたのに、院長が強く言うからまた緊張しちゃって。

萌：私たちがせっかく頑張っても水の泡だよね…。

美咲：どうしても歯を抜きたくない人とか、痛くなったら来ればいいっていう人もいるじゃん。私はそれはそれでいいと思うんだけど、院長は「こう」と決めたら絶対に動かないし、意見が違う患者さんには容赦なくお説教してる。

里奈：治療に熱いのはわかるけど、患者さんも不安な気持ちで来ているんだから、もっと尊重してあげたいよね。

美咲・萌：ほんとそれ！

こんな歯科医師はイヤだ！
その③ スタッフを自分の言いなりにさせる歯科医師

萌

チームで仕事している意識を持って！

美咲：何でも思い通りにさせたがる人っていない？ 自分の居心地がいいように職場をコントロールするというか。

萌：わかる！ 前に働いていた医院の院長がそう。後継ぎの先生だったんだけど、代替わりしたとたん自分のやりたいように医院を変えていって、それが本当にイヤだった！

美咲：最初と雰囲気が変わっちゃったんだ。

萌：そうそう。前の院長のときはもっとアットホームだったのに、だんだんギスギスしていって。何かにつけ怒られるし、とても意見なんか言える雰囲気じゃなかったな。まあ、その先生はスタッフから相当嫌われていたし、信頼されてなかったけどね。近づいてくるだけで「うわ、来た来た！」と小声で言い合ってたよ（笑）。

里奈：そりゃそうだよね（笑）。私の場合、意見は言えたけど、いちいちそれに水を差されてた。「いや、それはしなくていいでしょ」とか「経営的に無駄だからダメ」とか。もう提案する気もなくなるよね。

美咲：否定されるのは辛いなあ。

里奈：その先生、よく「嫌われる勇気も必要だよ」って言ってたんだけど、「それって違うんじゃない？」っていつも思ってた。嫌われてもいいからって、何でも言っていいわけじゃないし。

萌：ほんとにね。チームで仕事しているんだから、下の人たちの気持ちもくんでほしい。「一緒にやっていく」っていう意識を持ってもらいたいな。

後編では、好感度の高い歯科医師の特徴についても語ってもらいました。2022年12月23日公開予定です！

撮影／榊水麗　文／編集部