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【講座6】罹患リスクが高いから、国試でもB型肝炎ウイルスの周辺知識は頻出! 国試&CBT

【講座6】罹患リスクが高いから、国試でもB型肝炎ウイルスの周辺知識は頻出!

“歯科医師国家試験”ラストスパート直前講座 #6

歯科医師国家試験まであと少し! 国立、私立、現役、既卒…、どんな立場の受験生も緊張していることと思います。この連載では国家試験まで、大学在学中から国試勉強会を主催し予備校の受験対策研究にも協力した渡部先生に、受験直前期の勉強内容について教えてもらいます。

国試直前まで毎週更新していきますので、この連載で受験勉強のラストスパートをかけてください!

著者
渡部準也(わたなべじゅんや)

2021年、東京医科歯科大学歯学部歯学科を卒業し歯科医師免許取得。卒業時には長尾学術奨励賞(首席卒業)を受賞。同大学病院で臨床研修を行ったのち、2022年より同大学大学院へ進学し免疫をテーマに研究を行っている。学部在学中から同級生に対し、CBT/国家試験対策を行うなど、歯学教育に強く関心をもち、時期を同じくして他大学で試験対策研究を行っていた歯科国試塾ブループリント講師陣と意気投合し協力する。

歯科医師は、歯科診療における侵襲的な処置の必要性や針刺し事故など、B型肝炎に罹患するリスクが高いと言われていて、歯科医師国家試験必修範囲でもB型肝炎ウイルスや感染予防に関する問題は頻出となっています。

今回はB型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus: HBV)を軸として、肝炎ウイルスと消毒薬の2本立てでまとめました。

肝炎ウイルスの種類と抗原・抗体

肝炎ウイルスについては、まず初めにウイルスの構造の基本から改めて復習してみましょう。B型肝炎ウイルスの特徴については、他の肝炎ウイルスと比較しながら理解すること(例:108回A8)や、B型肝炎ウイルスにおける抗原抗体の意味(例:109回A16、108回C30)を理解することが必要となります。

B型肝炎ウイルスの構造

ウイルスは、核酸(DNAやRNA)が“カプシド”と呼ばれるタンパク質の殻に包まれた基本構造を持ちます。ウイルスによってはさらに表面に、元々は細胞に由来する脂質二重層の膜である“エンベロープ”を持っています。

HBVはカプシドの中に不完全2本鎖DNAを持ち、さらにエンベロープも持つウイルスです。血液を介した感染経路を持ちますが、有効なワクチンが存在し、ワクチン接種により感染を予防することができます。

肝炎ウイルスのうち、HBVのみがDNAウイルスで、他はRNAウイルスです。HBV、HCV、HDVはエンベロープを持つことと、血液を感染経路としている点で共通しています。HBVの具体的な感染経路として、母から子への垂直感染の他、針刺し事故や性行為などの水平感染が知られています。HBAとHBVは有効なワクチンが存在します。HDVはHBVと共に存在し感染するのでHBVワクチンで予防することができます。

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B型肝炎ウイルスの抗原・抗体

HBVはHBs、HBe、HBcと呼ばれる抗原をもっています。

HBs抗原はエンベロープ表面にあり、肝細胞への感染に関与するタンパク質で、HBs抗原の存在はHBV感染を示しています。

HBe抗原はカプシドの内部にあるタンパク質で、HBVの増殖が盛んな際にHBeが過剰に作られ放出されます。したがって、HBe抗原が陽性となるのはHBVが盛んに増殖しており、感染力が強い時です。

HBc抗原はカプシドを構成するタンパク質です。HBc抗原はウイルス内部のタンパク質のため血中では検出されません。

HBc、HBe、HBs抗原のそれぞれに対して抗体がつくられます。

HBc抗体はHBV感染の初期から出現し感染後も持続して検出されるために、HBc抗体の陽性はHBVに現在または過去に感染していたことを示します。

HBe抗体も早い時期から作られますが、検出できるようになるのはHBe抗原の量が減少してからです。したがって、HBe抗体が検出されたということはHBV増殖が鎮静化しており感染性が低下した状態となります。

HBs抗体の存在は過去にHBV感染があったことやワクチン接種があったことを示します。HBVワクチンはHBVの一部であるHBs抗原のみを用いた成分ワクチンとなっています。

HBVの抗原、抗体は感染に伴って、HBs抗原→HBe抗原→HBc抗体→HBe抗体→HBs抗体の順番で検出されるようになります。

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肝炎ウイルスと消毒薬

病原体と効果のある消毒薬についてもB型肝炎と絡めた出題があります。B型肝炎の他、HIVに効果のある消毒薬についても頻出です。あわせて確認しておきましょう。

消毒薬については、薬剤それぞれでどの病原体に効果があるのか覚えようとすると、暗記しなければならないことが多くなってしまいます。消毒薬の効力の強い順番(まとめの表の上から)で覚えておき、試験では選択肢の中から最も効果が高いものを選択するようにするとよいでしょう。当然ですが、問題文中に使用範囲について制限がある場合(例:粘膜で使用可能な等)は、条件を満たすものの中から効果が最も高いものを選びます。

必修範囲では、印象体の消毒についても頻出です(103回C18、100回A3など)。印象体の消毒では、HBVが付着していても消毒できるものを使う必要があり、次亜塩素酸ナトリウム以上の消毒薬が望ましいです。一方で、印象体が浸漬で寸法変化しにくいことも求められます。グルタラールは寒天やアルジネートなどのハイドロコロイド印象材で寸法変化が大きくなること、ホルマリンは人体への影響が大きいため使用されない場合が多いです。

印象体の消毒は、実質的に次亜塩素酸ナトリウムのみと理解してよいでしょう。寸法変化の少ないシリコーンゴム印象材でグルタラールが、ハイドロコロイド印象材でヨードが消毒に用いられる場合があります。

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HBVではエンベロープを持つウイルスでありながら、ポピドンヨードやエタノールが無効となっていますが、これは例外と考えてください。HIVのようにエンベロープを持つウイルスは一般的に、エタノールや界面活性剤などの消毒剤によってエンベロープを破壊できるため消毒薬が効きやすいです。

「エンベロープをもつウイルスはエンベロープによって守られないといけない弱いウイルス」とイメージすると、「エンベロープをもつ=消毒薬が効きやすい」というふうに覚えやすいと思います。ちなみに、新型コロナウイルスもインフルエンザウイルスもエンベロープをもつウイルスですので、消毒用エタノールによる手指消毒が感染予防につながります。

【今回のまとめ】

歯科医療と関連が深いB型肝炎ウイルスについて、特徴、抗原抗体の意味を理解してください。消毒薬は効力の強い順番と使用の制限を覚えて選択できるようにしましょう。印象体の消毒は次亜塩素酸ナトリウムが基本です。

歯科国試塾ブループリント

執筆協力

歯科国試塾ブループリント

2021年3月創業の新進気鋭の歯科医師国家試験向け予備校。個人個人に合った教え方、無駄なことを教えない徹底した効率主義、SNSによるいつでも質問可能なサポート体制で、進級や多浪生の国試合格を実現している。歯科医師国家試験の他、歯科衛生士/歯科技工士国家試験、歯学部編入試験、大学院入試など幅広いニーズに対応した個別指導を展開する。

2021年3月創業の新進気鋭の歯科医師国家試験向け予備校。個人個人に合った教え方、無駄なことを教えない徹底した効率主義、SNSによるいつでも質問可能なサポート体制で、進級や多浪生の国試合格を実現している。歯科医師国家試験の他、歯科衛生士/歯科技工士国家試験、歯学部編入試験、大学院入試など幅広いニーズに対応した個別指導を展開する。

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