自分の、そして歯科業界全体の可能性を広げていく

父方・母方どちらも、親戚みんなが歯科医師という「歯科家系」に生まれました。身近な職業だったからこそ、実は歯学部に進学した後も、本当に歯科医師になるかどうか決めかねていたんです。転機となったのは、病院実習で患者さんから「ありがとう」と言っていただけたこと。治療を通じて患者さんの人生をより良いものにできることを実感し、やっぱり自分にはこの道しかないと心に決めました。

5年目からは実家の医院に勤務し、父の指導のもとで診療の基礎を築いてきました。当院は長く通う患者さんも多いので、祖父や父が過去にどんな治療をしてきたのかを見ることがあります。自分の祖父ながら「良い治療だな」と思うことも多く、当院がこれまで信頼され続けてきた理由を感じました。そしてさらに5年後、ついに私が院長へ就任することに。不安がなかったと言えば嘘になりますが、50年以上の歴史がある歯科医院を引き継げることは大きな喜びでもありました。

経営で大切にしているのは、「変わらずあり続けるために、変わり続けること」。地域に必要とされる歯科医院であり続けるために何を取り入れていくべきか考え、試行錯誤を重ねています。たとえば最近だと、スポーツマウスガードの資格を取得しました。私がスポーツ好きなのもありますが、当院の近くにはランニングをしている人やユニフォームを着ている人が多いんですよね。そんな街の人たちを歯科から支えるために、資格を取ってみようと思ったんです。また、お口の健康を通して全身の健康に寄与したいと、管理栄養士による食育や栄養指導もスタートしました。新しいことにどんどん挑戦するのは、私自身がこの仕事を楽しみ、好きでい続けるためでもあります。そうすることで診療の幅が広がり、患者さんに喜んでもらい、地域を活性化することもできる。そうやってこれからも自分の可能性、そして歯科の可能性を広げていけたらと思います。