トレンドをとらえ、ビジョンをもった経営を

私は初めから歯科医師を目指していたわけではなく、高校卒業後にまず入学したのは商学部です。子どもの頃から自分のペースでできる遊びやスポーツが好きだったので、同じように自由な働き方ができる弁護士や会計士になろうと考えていました。でも大学に通ううちに、弁護士や会計士で起業し、成功するのはなかなか難しいと思うようになりました。また当時は就職氷河期で内定を取るのも容易ではなく、もうしばらく学生を続けたいと思い成り行きで歯学部に編入することになったんです。

臨床研修を終えた私は自分の思うように診療するべく、2008年2月に何もかもが手探りの状態から開業しました。医院の立地も、今なら決して選ばないような、歯科医院向きではない場所です。かなり苦労しましたが、歯科医師として医院経営の経験が足りない分を商学部で学んだ知識で補いながら、少しずつ医院を大きくしていきました。開業から15年たった今は、法人内に歯科10院を展開。日々多くの患者様に来院いただけています。

私が経営で大切にしているのは、歯科業界の今後を中長期的なビジョンで考えることです。例えば他の業界の流れから見ても、歯科医療のデジタル化・専門化・大規模化は進んでいくはず。法人内にWEB関係の人材を3名配属させたり、専門分野を持つ歯科医師を多数採用しているのはすべて、これらのトレンドを見据えた取り組みなんです。またスタッフが無理なく働ける体制をつくるのもこだわりの一つ。私自身も「仕事とプライベートはきちんと分けたい」というタイプなので、若手歯科医師の指導も勤務時間中に行い、残業させることのないようにしています。役職のある歯科医師には個室のオフィス空間を設けたりと、働きやすい環境の整備も惜しみません。そうやってスタッフが長く、気持ち良く仕事を続けられることは、ひいては患者様のメリットにもつながると思うんです。

当法人には、開業しても十分にやっていける実力のある歯科医師が、勤務医として長年在籍しています。なかには、大きな病院で口腔外科部長を務めていた人も。これらは、やりがいを見つけ、専門分野に特化して診療できる環境の整備に力を注いできた結果だととらえています。これからもより多くの主訴を解決することを第一に考えながら、さらに法人を盛り上げていきたいです。