“人”を何より大切にする組織でありたい

学生の頃から開業すると決めていたので、卒業後はそのために着々と準備を重ねていました。厚木を開業場所に選んだのは、ファミリー層の患者さんに多く来てもらいたかったから。勤務医時代は都内で分院長を務めていたのですが、都心では集患がなかなか難しいことを痛感して、自分は郊外に医院をつくろうと思ったんです。この郊外型の医院なら私のやりたい矯正治療のニーズも高いし、新しいことにもどんどん挑戦できると思うと、不安はほとんどありませんでしたね。

開業後に苦労したのはスタッフマネジメントです。医療従事者は「医療＝お金儲けはダメ」という考えを持っている人が多いのですが、経営視点からすると原資は必要不可欠。医院の収益が上がらなければ、設備投資ができないし、良い人材も確保できません。まずはそれを理解してもらうのが大変でしたが、私の考えを繰り返し伝えることで、だんだんみんなで同じ方向を向けるようになっていきました。

経営の土台ができ上がったのは、開業から8年ほどたった頃。それまでコンサルティングを依頼したり勉強会を開いたりしたものの、うまくいかないことも多かったのですが、「失敗しなければ次につながらない」と自分に言い聞かせながら取り組み続けたことで実を結んだと思っています。具体的には、スタッフが成長して、幹部候補も育ってきたことが大きかったですね。人が増えれば増えるほど、組織が大きくなれば大きくなるほど、“人”はとても重要なのだなと実感しました。

その経験もあり、当法人では今も人材育成に力を入れています。歯科医師の場合は、治療計画の立案に対するカンファレンスを毎週開催。当法人の考え方に沿った治療計画を立てるのはもちろん、患者さんにとって最適な方法を提案できるようになるためです。また、法人全体での勉強会も定期的に行い、全員で知識をアップデートしています。さらに「勤務医であっても、いろいろな経験を積める環境を用意したい」との思いから、技術向上に励んでいる人には、インプラントや矯正なども積極的に任せるのも私のモットー。当法人は自費率が60～70％ほどと高いのが強みなので、たくさん経験を積んでもらえると思います。

現在は3医院を経営していますが、次の分院展開も考えている最中です。これからも、患者さんが気軽に通え、スタッフが成長できる場を提供し続けていきたいと思います。